すーぱーからしちゃんねる

からしがみたものをまとめたものです。

星組東京宝塚劇場『柳生忍法帖/モアー・ダンディズム』

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【なんかどうしてもムラに行きたい】

そんな時ってあるじゃないですか。ちょうど、3000万人来場者記念でなんか貰えるらしいと聞いて、翌日のチケットを手配しました。同じ考えのお友達と劇場で偶然に出会えて嬉しかったです(笑)
記念品にポストカードを貰って、お祝いの幕が掛かったおめでたいご挨拶も聞いて、ほくほくで帰ってきました。たまにはこういう日帰り遠征が必要な時があるんです。
ということで、1度ムラで観劇してからの東京公演です。

【期待】

忍法帖っていうくらいだから、こっちゃん(礼真琴)は忍者に違いない。と、割と直前まで思っていました。だってビジュアルも忍者っぽかったし、こっちゃんは忍者っぽいし!原作があると聞いていましたが、予習はせずに挑みました。
愛ちゃん(愛月ひかる)の退団発表に、涙目になりながら過ごしていたことを思い出します。愛ちゃんは絶対に1番大きな羽根を背負って、1番最後に階段から降りてきてくれると信じていたので。わたしは長い間ずっと宙担だし、愛ちゃんへの期待はとても大きかったんですよ。だからこそ、「愛ちゃんが大劇場に立つ最後の姿を観に行かなくちゃ」と思い立ったのかも知れません。愛ちゃんの最後の役がラスボスだと聞いて、期待は大きく膨らみました。上級生になって、敵役の凄みが出るようになっていた愛ちゃんの集大成を見なければ。

初演の、真矢ミキさんの『ダンディズム』が本当に大好きで、スカステの映像を何度も何度も何度も見ては、あの癖になる世界観の虜になっていました。『ネオ・ダンディズム』も良いけれど、わたしは初演『ダンディズム』派。今回の『モアー・ダンディズム』がどれだけ初演を踏襲したものになるかわからなくても、とても楽しみにしていました。初日のタイムラインを見て、心の中でガッツポーズをしちゃいました。

柳生忍法帖

3回観て、やっとお話を理解できた、ゆるい頭の持ち主で申し訳ない。何もわからなかった訳ではないのですが、ドラマを理解するのに時間がかかった。難解に受け取ったのは、ゆらの心の動きかなあ。どこで十兵衛のことを好きになったのかが読み取れず、クライマックスの展開に置いて行かれてしまった感。

でも、十兵衛先生はめちゃくちゃ格好良かったよ!ヒーローとはかくあるべしと思いましたね(CHを観た後だったから尚更)最後の「俺だけが弔ってやれる女がいる」とか、本当に格好良かった。こっちゃんの動きひとつひとつから目が離せなかった。腰を落として抜刀した時、どうしても期待に胸が高鳴るんですよね。動く前の一瞬のタメが格好いい。歌いながらの殺陣も、安定感があって格好いい。格好いい。それ以外言えない。格好いい。この公演はわたしにとって、遅れてきた礼真琴ビッグバンとなりました。こっちゃんの見方が本当に変わったよ。

ゆらは、前述した通り、ちょっとよくわからなかった。ヒロインが魅力的に感じられなかったのは残念です。

愛ちゃんの銅伯は、期待以上の迫力でした。長髪のカツラと髑髏柄の着物、人外感溢れるオーラ。どれを取っても惚れ惚れするような男役芸でした。愛ちゃんの、セリフがない時の目の芝居が好きなんですけれど、最後にそのお芝居も堪能できて嬉しかったな。悠未ひろさんがしていたような、悪役の目の芝居を愛ちゃんが受け継いでくれていることが嬉しかった。この男役芸を、今度は誰が受け継いでくれるんだろう。
黒髪の愛ちゃんも格好良かったな。あんなに長い髪で殺陣をしているのに、宙を舞う毛先の全てが美しくて、さすがだなあと思いました。
銅伯をラスボスとするなら、最後に成敗されて、もっともっと派手に倒されてほしかったですね。七本槍より先に倒されてしまうのは解せなかった。わたしが歌舞伎脳になっちゃってるのかも知れませんが。それだけ、愛ちゃんの最後の役に対する期待が大きかったのです。

堀ガールズは、セーラームーンみたいで超かわいかった。それぞれの衣装にカラーがあるのがいいよね!ちゃんと最後まで堀ガールズの復讐劇になっているのが良かった。それでも、十兵衛が主人公としてヒーローとして物語の中心に立っているのも良かった。

七本槍は、一人一人のキャラが濃すぎて。もうちょっとちゃんと見たかったです。みんなメイクも凝っていて、見ていて楽しかった。ちゃりお(碧海さりお)の「わしの目を見ろ〜〜!!」×2が面白すぎてツボった。キワミ(極美慎)のお衣装が桃太郎っぽくてツボった。あかさん(綺城ひか理)の客席に向けた拳法タイムにツボった。

大野先生の作品はいつもそうだけど、キャラクターが多くていいよね!できる限り多くの生徒に登場人物として活躍してほしいという気概を感じます。語り尽くせぬ。

【モアー・ダンディズム!】

■プロローグ
コーラスから始まる演出に鳥肌が立って、ワクワクして吐きそうになりました!映像で観たままの世界観。色彩。煌めき。そしてゴンドラに乗って登場するこっちゃん!!赤が似合う。第一声から心を掴むこっちゃんの歌声。両手を広げた時のトキメキが半端ない。ちょっと癖のある動きが、真矢みきさんを彷彿とさせて、男臭くて本当に格好いいのですよ。
ひっとん(舞空瞳)のキラキラしたソプラノも、こっちゃんの歌声とコントラストがはっきりしていて鮮やか。
もう、ここからは誰を観ていいかわからず(みんな見たいんだよ!)オペラグラスが迷う迷う。こと愛せおのトリオの場面がめちゃくちゃ好きでした。
わたしがよく「宝塚の独特のビート」と言っているものは、まさにこのビートのことを言っています。ベースが8部でリズムを刻んでいて、どっしりと頭にアクセントを置いた手拍子がハマるビートのことです。このビートに乗って、手拍子してる瞬間が、人生のうちで1番幸せな時間。

■薄紫のとばりの向こう
初見では「愛ちゃんの歌をこんなに聴かせてもらえるなんて!」と感激しっぱなしでした。決して歌の人ではなかったと思うんですよ。その愛ちゃんに、歌でこんなに魅せられる日が来るとは。
ゆったりと銀橋を歩いて、ひとりで劇場の空間を埋め尽くせるくらい、大きな男役さんになったことにも感激していました。ロマンチックな、男役らしい薄紫色のお衣装も素敵だった。

■ミッション
星組のダンスのエネルギーは、とても熱くて「ああ、星組観てるなあ」という気持ちにさせてくれるから大好き。こっちゃんとひっとんが、場面をぐいぐい引っ張っているのも、観ていて気持ちが良い。今回のレビューも良かったけれど、こういう、踊りまくり!なショーも観てみたい。

■ビューティフル・ラブ
みんな可愛くって、誰を見るか迷っている間に、場面が終わってしまう。いつもの残念なパターン(笑)
大体、くらっち(有沙瞳)か、あまね(澄華あまね)ちゃんか、下手のブルーのドレスの娘役さんを観てました。大きなツバ広帽子って、乙女の夢だよね!

■キャリオカ
こっちゃんの真矢みきリスペクトが炸裂していて、初演を見ていないのに、飛び上がりそうになるくらいに喜んだよ!インテンポよりやや遅れた、タメにタメた癖になる歌い方をしてたの。それが男クサくて本当に格好良いんですよ。黒燕尾の男役と、シンプルなドレスの娘役が勢揃いする、エレガントな場面なのに、パッションを感じる。これが星組パッションというやつなのですね!

■ゴールデン・デイズ
愛ちゃんとの一方的な思い出が、走馬灯のように脳裏に駆け巡ってくる場面。『モンテ・クリスト伯』の新人公演、『翼ある人びと』のリスト、『王妃の館』の金沢さん、A motionの思い出、『神々の土地』のラスプーチン、『天は赤い河のほとり』のマッティワザ、『WEST SIDE STORY』のベルナルド、『不滅の棘』のエロール……。想い出がいっぱいで、前楽では輝く愛ちゃんを見てズルズルに泣いてしまいました。ということで、この場面では愛ちゃん様しか見ていなかったですね。くらっちを見つめる眼差しの貴公子っぷりに惚れ惚れしました。

■ハード・ボイルド
命がいくつあっても足りないよ。守ってくれよオタクの命。どこを見ても刺激が強すぎて赤面しちゃうよ。
こっちゃんは歌のテクニックの引き出しがあんなに多いのに、歌のうまさでうたている感じが一切ないのが本当に素晴らしい。今回の公演で、礼真琴の魅力に(わたしが)覚醒しました。これからは、もっとちゃんと本気でこっちゃんの歌を聴こうと思いました。
前楽では、噂の前髪サラサラな礼真琴を拝むことができまして、噂通りのセクシーさに悲鳴をあげそうになりました。悩ましげに前髪をかき上げる仕草がたまらなかった。これが礼真琴のダンディズムか!!国宝に指定した方がいい。
伝統ある振付も、本当に格好良くて、誰を見ても赤面しちゃうくらい色気が迸っていて、ハイカロリーな場面でした。なんだあの腰遣い!特にあかさん!けしからん!国宝に指定しろ!

■ザ・ロケット!
この主題歌とても素敵なのに、あんまり使われていないんだよね。もうちょっと聴かせて欲しかったな。クルクルファンタジー

■テンプテーション!
男役のターバン姿は、宝塚ならではのスタイリングで素敵ですよね。個人的には、他の場面の味が濃すぎて、箸休め的になってしまった。
前楽では、銀橋にずらりと並んだ時に、愛ちゃんがオペラなしでも確認できるくらいに特大のウインクを、2階席に飛ばしていたのを確認して、たいへん感動しました。あれは忘れられない。

■ラ・パッション!
せお(瀬央ゆりあ)って、めちゃくちゃ景気がいいよね!なんか、見ているだけで運気が上がりそう。金運とか上がりそう。手拍子してるだけで宝くじ当たりそうだもん。
ロマンチックレビューは、ひとりのスターがたっぷり歌ってくれるのがいいですね。

■アシナヨ
泣きすぎて記憶が曖昧。
でも、「悲しさ」とか「さみしさ」よりも、しみじみと「いいなあ」と思わせてくれるトリオでした。こっちゃんと愛ちゃんの関係性が見えて、その中でひっとんがキラキラ輝いていて、本当に心から「いいなあ」って思ったんです。
お衣装も素敵だった。三人の青が印象に残っています。

■パレード
こっちゃんが降りてくるのを待っている時の「モアー、モアー」っていうコーラスのアレンジが超大好き。照明が薄暗くなって、少しメランコリックな雰囲気があって、ノスタルジックな感傷に浸れて、オルガンの音が聞こえてくる瞬間の多幸感はまるで麻薬のようでした。

【前楽クリスマススペシャル】

前楽は12月25日で、ちょうどクリスマスでした。マチネは友会貸切公演だったので、友会関連のアドリブが多かったそうですが、ソワレはクリスマススペシャルでした。
クリスマスバージョンのレポは、レポが上手な人にお任せして、わたしが如何に星組さんに狂わされたかを記しておきたいと思います。
こっちゃんがゴンドラから降りてきて、頭上にサンタ帽を確認した瞬間に「わはは」と声が漏れ出てしまったよ。ひっとん(サンタ帽)愛ちゃん(トナカイの耳)せお(トナカイの耳)が出てきた瞬間、可愛すぎて客席で暴れた。隣に座っていたお友達ごめん(笑)
ハードボイルドでこっちゃんが出てきた瞬間、客席がザワついてたけど、最初よくわかんなかったよ。白いハットにクリスマス浮かれポンチメガネがついてたよ。最後の掛け声で「受け取って…」と吐息混じりに決めてくるこっちゃんに悲鳴が出そうになったけど、我慢したよ。「グフォ」みたいな声は出た。
ラ・パッションCR瀬央ゆりあは、劇場中の「何かやってくれるに違いない」という期待を背負いながら、景気良くハイテンションに登場。特にアドリブもなく歌い出したので「あれ?何もしないのかな」と案ずる客席の期待を上回ってくるのが瀬央ゆりあという男役である。間奏でジングルベルをぶっ込み、歌って踊るという期待を上回るパフォーマンスに株価は右肩上がりだった。
しあわせで、楽しすぎて、ありがたすぎて、ずっと『5500円しか払ってないんですけど、良いんですか!?」って思いながら見ました。最高のクリスマスになりました。

【2021年観劇納め】

本年の投稿は、この記事が最後になります。今年も、たくさんの楽しい!しあわせ!をブログに残せました。その思い出を、アクセスしてくださった方と共有することが出来て、嬉しかったです。
来年も、たくさんの楽しい!しあわせ!をこのブログに残せますように。そして、来年も『すーぱーからしちゃんねる』をよろしくお願いいたします。