すーぱーからしちゃんねる

からしがみたものをまとめたものです。

星組東京宝塚劇場『1789』

【期待】
先に見た友だち仲間がみんな大絶賛なので、期待はパンパンに膨れ上がっていました!
月組の初演は観ています。当時の月組は、番手がはっきりしていなくて、特に男役がみんな個性的だったように記憶しています。そこが今回の星組ではどうなるのか。トップ娘役の役がアントワネットからオランプに変わるところも気になりました。やはり初演では無理矢理感があったので、ヒロインの在り方が変わるんだろうなと楽しみにしていました。
そしてなにより、こっちゃん(礼真琴)の歌ですよ!フレンチロックの楽曲をこっちゃんがどう聴かせてくるかをとても楽しみにしていました。トップスターに次いで楽しみにしていたのがくらっち(有沙瞳)のアントワネットです。絶対に良いに決まってる!後は極美慎くんのロベスピエール。みんなが贔屓目抜きにして絶賛しているから楽しみでした。


【全体像】
懐かし面白い!結構ナンバーが入れ替わっていて新鮮!コーラスの圧がすごい!舞台からの熱がすごい。文字にしてしまうとありきたりに感じてしまうけれど、組子全員が『命を賭けてやってる』感じがすごい。
フランス革命って、遠い昔の違う世界での出来事だと思ったけれど、とても身近なものに感じられたのは、ひとつひとつの台詞に込められた熱がアツかったからだと思う。今の日本ってさ、フランス革命直前と似たようなところがあるよね(という切迫した苦しさをわたしは感じています)それを大衆娯楽の中でも抜きん出て華やかな宝塚歌劇がメッセージとしてぶつけてくるのが、大変興味深い。この公演の主たるメッセージはロナンとオランプの身分を超えたラブなのかも知れませんが、わたしは恋愛至上主義ではないので、民衆の持つ様々な感情に興味を持ちました。農夫の息子とブルジョワジーの息子たちの埋められない溝とか、とても身近なジレンマとして感じられた。だから、最後の人権宣言はもっとエネルギーがあっても良かったのかなと感じました。月組の時は、そこに重心があり、そこに感動したので。
出会って間もないのに、お礼だと言ってキスをするのは、イケコが格好良いと思っているからこの演出なんだと思うんですけど、男役仕草だとしても気持ち悪いのでやめてほしい。
オケの音がよく聞こえる席に座ったので、一緒に観たお友だちと「ドラムが華やかで良かった」とか「これはギターで作られた曲に違いない(実際はわかりません)」とか、マニアックな話が出来たのも楽しかったです。好きなギターリフは『肌に刻み込まれたもの』のニルヴァーナみたいなやつです。
イケコの1本もののフィナーレって、代わり映えしなくて最近少し飽きてきた。でも、衣装がすごく良かったな。特に歌唱指導のせおと、デュエットダンスのことなこ。なこちゃんの脚が綺麗に見えて良きでした。


【キャスト】
ロナン/礼真琴
どこから褒めたら良いかわからない。まだ整理が付かない。一番良かったのが、オランプのことを好きになる心の動きが見えたことかな。これは宝塚歌劇なので、ロナンとオランプのラブの話が中心であるべきで(わたしの捉え方は一旦置いておいて)とても重要だと思いました。
ロナンは農夫の息子なのに、出てくる度に衣装が変わっている上に、三つ揃いを着ているのがちょっと面白くてツボ。
歌はもう言葉が見つからないくらいに素晴らしかった。『サ・イラ・モナムール』なんて凄すぎて魂が身体から飛んでいっちゃうかと思った。この量のナンバーでシングルキャストで務めるなんて、ちょっと信じられない。

オランプ/舞空瞳
ひっとんのオランプは、ロナンと出会って恋をしてゆくところがとても良かった。この人の人生が変わっていく様が手に取るようにわかって、なんてドラマチックなんだろうと思った。だからなのか『許されぬ愛』は、初演とは全く違った曲に聞こえた。そりゃそうなんだけど。アントワネットとの最後の場面も良かったな。ひっとんの受けの芝居がとても沁みた。

アルトワ伯爵/瀬央ゆりあ
初演のみやちゃん(美弥るりか)のアルトワ伯のインパクトが凄かったので、せおはどう作ってくるのかなと楽しみにしていました。うーん、もっと狂気のある役になるかと思ったのですが、意外に普通でした。仁ではなかったのかなと思うのです。陽のパワーが強すぎる。歌唱指導のせおが、わたしのイメージするせおなんだろうなと思いました。
専科に異動したら、仁に合った役で、せおっちの魅力を爆発させてほしいです。別格の線で輝く男役さんだと思っているので。

デムーラン/暁千星
ねえ!うたち(詩ちづる)との並びが完璧すぎない!?『RRR』の次の別箱は、ありちゃん様とうたちのDCで決まりじゃない!?って思った。
歌も良かった。とにかく声がデカい。ダンスもデカい。ありちゃん様丈の長いジャケット着てくれてありがとう。

ペイロール伯爵/輝月ゆうま
こっちゃんを蹴る振りが容赦ないのと、こっちゃんの殴られ蹴られ芸が上手いのとで、迫力のある拷問の歌でした。
ロナンの敵役ですよねペイロールは。敵役に相応しく、大きな存在感がありました。

マリー・アントワネット/有沙瞳
もう!期待以上に!素晴らしかった!!歌、お芝居、お姫様仕草、ドレスの着こなし、どれを取ってもパーフェクトだった。磨き上げられた娘役芸を存分に魅せてくれました。
オランプとの最後の芝居では、湿っぽくなく、潔くて、くらっちの作ったマリーの人物像がとてもよくわかりました。あと、フェルゼンとの関係の在り方もいいよね。確かにフェルゼンと不倫関係にあったかも知れないけれど、最後は家族を愛する女性として人生を終えることを選択した女性だった、というマリーの高潔な部分が見えました。
今作でご卒業のくらっち。『伯爵令嬢』でお名前を覚えてからだいぶ経つけれど、見る度に新しい発見のある娘役さんでした。新しい世界でも輝き続きますように。

ダントン/天華えま
ぴーすけは本当にお芝居が上手い!自分の立ち位置をしっかり理解していて、そこから放つ輝きが半端ない。軽快なキャラクターなんだけど、軽くなりすぎない。そこの絶妙なバランスがとても上手い。ダントンといえば、このお話の後の運命が『ひかりふる路』で語られていますが、それに繋がるような明朗な彼の姿で、とても印象的でした。

ソレーヌ/小桜ほのか
わたしが見た日は、すこし鼻声だったかな?歌声も本来だったらもう少しまろやかなのにな?という感じで、あまりコンディションが良くなかったようでした。それとも、役作りのために声を割っていたのでしょうか。複数回見たわけじゃないのでわからず・・・。でも、力強いソロで、印象に残りました。

ロベスピエール/極美慎
きわみが男になっていた!今までシャイニングスパークリングキューティーアンドビューティーボーイだったのが、ダーククールメンになっていた!『誰の為に踊らされているのか?』の場面を引っ張っていく姿、皆さんご覧になりました!?
革命後、恐怖政治を行っていくような男に見えたのが良かったです。目の奥がね、怖いの。闇の輝きを放てる男役になったきわみから、目が離せません。

フェルゼン伯爵/天跳華音
安心安全のあまとかのん。何でも出来る。初演のありちゃんがあまりにもピヨピヨしていたので(学年的に仕方がない)あまとくんのフェルゼンはだいぶ落ち着いて見えた。歌が欲しいな~と思った。

他にも印象に残った生徒について。

オレキザキ(輝咲玲央)のネッケルとてもインパクトがあってよかった。この人がいてくれたらフランス革命も、もうちょっとどうにかなったのかもしれない~~。

朝水りょう先輩、客席降りで真後ろに居て美しかった。

ちゃりお(碧海さりお)、きしょうくん(稀惺かずと)、たいきくん(大希颯)の秘密警察三人組は、かわいくって見ていて飽きませんでした。初演から好きなキャラクターです。わたしは大希くんがお気に入りなので、お芝居もたくさん見れたし、Wトリオでは目の前でうはうはでした。


【元気になってね】
突然の休演のニュースには驚きました。憶測や噂でものを言うのは好きじゃないので、わたしに言えることは「しっかり休んで、おもいっきりパフォーマンス出来るように元気になってね」ということだけです。そして、こんなに素晴らしい作品を見せてくれてありがとうの気持ち。応援しているよの気持ち。
そして次回の『RRR』ですよ。原作映画を予習して、妄想配をしながら楽しみに待っています。チケット取れますように!最悪、映画館で中継見られたら良い!こっちゃんは『RRR』まで休養ということですが、何倍にもパワーアップして帰ってきてくれると期待しています!!