すーぱーからしちゃんねる

からしがみたものをまとめたものです。

宙組東京宝塚劇場新人公演『シャーロック・ホームズ』

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【期待と所感】

「この新人公演が見られて、本当に良かったなあ~~」と、5回くらいしみじみ思った新人公演でした。わたしの期待度も高かったし、それに応えてくれた新人公演メンバーの熱量が素晴らしかったのです。

亜音有星くんは、満を持しての主演。感覚的には「え?もう主演してましたよね?」って感じなんですけど、今回が初主演なんですよね。顔もスタイルも際立って美しく、台詞も明瞭で芝居に落ち着きがある印象の男役さん。主演として、舞台をどのように引っ張っていくのか。有名すぎる名探偵をどんな風に創ってくるかに期待していました。

初ヒロインの山吹ひばりちゃんは『夢千鳥』での大抜擢に応えていた、声の綺麗な娘役さんの印象が強いです。線が細くて繊細なイメージのある彼女が、ダークな存在感が印象的なアイリーン・アドラーをどのように見せてくれるのかが楽しみでした。

新人公演の感想をまとめるとき、どうしても上から目線で偉そうになってしまうのが自分でも恥ずかしいのですが、あの夜の思い出を記したいと思います。


キャラクターが大勢存在する世界で、それぞれがそれぞれの持ち味と個性を生かして役を魅せてくれました。みんな、久しぶりの新人公演楽しいな!っていうオーラに満ちていたよ!

【キャスト】

シャーロック・ホームズ/亜音有星
開演アナウンスの声が、かわいい女の子の声で戸惑いましたけど、こそこそと変装をしている姿から既に真ん中スターオーラがにじみ出ちゃっているので安心しました(笑)真ん中のオーラばっちり!
序盤は落ち着いて淡々としているように見えたから、ハードボイルド系なのかな?と思ったけれど、徐々に事件ダイスキーな変人の部分が見えてきて、これがキョロちゃんのホームズなのね!と思いました。特に221Bでのアドリブからは、エンジンが掛かったように伸び伸びしているように感じました。楽しそうに見えた(笑)過去の新公でも思ったけど、コメディセンスがあるタイプなのかな。バールを持ち出しちゃうセンスが好きです。文字にするとただの危ない奴だけど。
後半は、殺陣と激しい舞台転換に、手順にいっぱいいっぱいといった感じは一切見られず、安定感がありました。さすがの舞台度胸!
ラブ要素が少なめのお話だから、相手役に見せる顔や男役としての態度があまり見られなくて物足りない感は本公演も同じなんだけど、もっといろんな表情が見たい!と思わせてくれる主演像でした。モリアーティに対峙するところの迫力というか、エネルギーのぶつけ方が本役さんとは違っていて、ここでもキョロちゃんのホームズを感じました。
お歌、特に低音はまだまだこれからかな。伸びしろがあるってことです!

アイリーン・アドラー/山吹ひばり
ひばりちゃんのアイリーンは、鈴の音のような甘い声が鼻に抜けるときがとても色っぽくて艶っぽくて、耳が幸せでした。原作アイリーンのイメージに近い色気を感じました。お歌も明瞭で堂々としていて、とても良かったです。
ほっそりしていて、ドレスがとても映える。重厚なデザインのドレスが重そうに見える瞬間もありましたが、白いオペラ座のドレスはとても似合っていました。
『夢千鳥』配信ではお化粧があらら?と思うところもあったけど(配信は顔がアップになっちゃうから難しいんだよね)今回はとても綺麗でした。
ひばりちゃんは105期。最近まで「ジャンプ!」ってやってたんですよね。娘役さんは抜擢も成長もはやいはやい。これからのご活躍も期待しています!

ジェームズ・モリアーティ/鷹翔千空
こってぃのモリアーティ、最高でした!敵役感、厨二感が大爆発していた!『リッツ・ホテルくらいに大きなダイヤモンド』で感じた物足りなさを、今回はほとんど感じずに、むしろ物凄い進化を感じたよ。本役さんは出てきた瞬間からやばい奴オーラをむんむんにかましているけど、こってぃのモリアーティは、ジワジワとやばい奴なのを知らされる感じ!展開を引っ張る力がすごい。最後、ホームズとの対決が格好良かった。
キキちゃんのモリアーティはトカゲっぽいけど、こってぃのモリアーティはヘビっぽかった。

マイクロフト・ホームズ/真名瀬みら
とても良かった!声も太くなっていたし、お腹が出ている芝居も馴染んでいて素晴らしかった。走り方がすごく上手なの!髪型も渋格好良くて素敵だったな~。
まなちゃんには思い入れがあるので、こうやって良いお芝居や役作りをみせてくれるとうれしくなっちゃうんです。

ジョン・H・ワトスン/優希しおん
きよちゃんのワトスン君は、メアリーにメロメロで甘々なのがとても良かったです。娘役に向ける男役の視線スキーとしては、何度もきゅんとさせてもらいました。このカップルの場面はみんな好き。バカップルに見えないぎりぎりの塩梅なのが素晴らしい。さすが新公の長、とても落ち着いていて地に足が付いていて、役にきよちゃんらしさがあって、安心感がありました。きよちゃんの挨拶が聞けて、うれしかったよ。

G・レストレード警部/大路りせ
いやいやいやいや、初めての新人公演って嘘でしょ!?ショーでピックアップされていたから、期待されてるんだろうなあと思っていたけど、研3でこんなに出来ちゃうとは。本役のコピーにならずに、ちゃんと自分のレストレードが出来上がっているのにも、びっくりしました。苛立つレストレードの声色に迫力もあって、圧倒されました。大路くん、顔もお名前も覚えたので、これからも注目したいと思います。

J・モリアーティ大佐/風色日向
まず見た目が良すぎる。ヒゲが似合いすぎる。色気がありすぎる。次に声が良すぎる。色気がありすぎる。けしからん。そして、オーラがありすぎる。ちょっと喋っただけで、存在がセンターになる。芝居の真ん中をぐんと引き寄せる。これは魔法なのか。
きっと魔法なんだと思います。ぜひ、次作はひなこちゃんの主演が見たいです。

ハドスン夫人/花宮沙羅
さらちゃんのハドスン夫人は、ホームズのピストルを奪っておちゃらけるような、茶目っ気に溢れた女性。キラキラした声とコミカルな表情がさらちゃんらしいハドスン夫人になっていました。ホームズに対しては、おねえさんというよりは、ママとかおかんみたいな雰囲気があって、本役さんと違ったアプローチに見えました。細かい芝居を見るのが楽しかったです。さらちゃん大好き。

フレッド・ポーロック/真白悠希
わたしの視線を捕まえて話さなかったのが真白くんのポーロック。めっちゃ芝居が濃い。白目が利く。声が良い。なかなかハンカチが出なかったのはアクシデントだったのか、彼のポーロックのキャラクターなのか。あそこで客席を味方に付けて笑いを引き起こしたから、アクシデントも芝居になったのだと思います。その辺も好きだ。気になっちゃう!
もえこちゃんのポーロックがトカゲなら、真白くんのポーロックはワニっぽいなと思いました。

メアリー・モースタン/有愛きい
なんて!笑顔が!かわいいの!しかも歌声がとても綺麗で透き通っている。ワトスン君に激ラブなのもいい!今回はじめてきいちゃんのお芝居が見れて、「こんなお芝居する子なんだ」という発見があって嬉しかったです。本公演で気になっていた生徒のお芝居が見られる新人公演って、ほんとありがたいシステムですよね。


以下、気になる生徒、印象に残った生徒について。

どこの場面にいたって目を引く輝ゆうくん。おかゆちゃん本当に綺麗よね。水音志保ちゃんと並んでいる瞬間をわたしは見逃さなかったぞ!眼福・・・!

オペラ歌手たちも印象に残りました。ここでも真白君が気になってしまったんだ。これは運命の匂いがぷんぷんするぜ。朝木陽彩ちゃんの美声は期待通り、いやそれ以上でした。愛未サラちゃんもお歌が上手なのね!

地下武器口上の面々も色濃くて良かった。ヘルダーの湖風珀くんは、やばいやつオーラが凄すぎて目が離せなかった。モラン大佐の嵐之真くんも濃かった~~。本役さんに負けてない射撃のフォームだった~~。カゲソロの春乃さくらちゃんのソプラノも、ぞくぞくするほど美しくて格好良かったです。

プログラムにお名前が載っていなくてわからないんだけれど、ホテルのフロント役の男役さんも目を引きました。落ち着いていて、よかったです。


【おかえりなさい】

本公演とはちょっとちがった特別な夜。あたたかい劇場。生徒が輝き出す瞬間と、それに引き込まれてゆく客席の視線、熱気。
新人公演ちゃんが帰ってきてくれて本当によかった。
世界はまだまだ混乱と不安の渦の中にあるけれど、少しずつ元のかたちを取り戻してくれる宝塚歌劇が、わたしのこころの支えになっています。