すーぱーからしちゃんねる

からしがみたものをまとめたものです。

宙組東京新人公演『NEVER SAY GOODBYE』


【期待】

102期の抜擢が嬉しかったですね!ひなこちゃん(風色日向)『エル・ハポン』で、色気たっぷりの初主演を見ていたので、ジョルジュのような、能動的な主役をどう演じてくれるのか、とても楽しみにしていました。さーちゃん(春乃さくら)は、『ホテルスヴィッツラハウス』での可憐な歌とお芝居、『プロミセス・プロミセス』では少ない場面でもインパクトのある品の良い美しさが印象的な娘役さんでした。本公演でも歌で活躍されていますよね。この抜擢がとても嬉しかったです。
宙組の新人公演は、ご縁あって、ここ数年間観劇出来ています。この新公に期待していたのは、コーラスです。本公演の素晴らしいコーラスを支えている彼らが、中心になった時、どんなに素晴らしいものを聞かせてくれるんだろうと楽しみにしていました。

【所感】

当日のマチネから、舞台機構のトラブルがあり、開演時間が15分押しました。長年観劇しているけれど、舞台機構のトラブルに出会したのは初めてです。
本公演を見ていた友人から、演出の変更を聞きましたが、概ね同じような変更だったようです。違っていたのは、ヴィセントの実家に警官がいたことくらいでしょうか。新人公演は出番がひとつ減っただけで、チャンスが激減しちゃうもんね。
セリが故障していても、演出の変更があっても、舞台を絶対に成立させるぞという、出演者とスタッフの気概を感じました。プロフェッショナルを見ました。
そして、期待していたコーラス。素晴らしかった。これだけの人数で、コーラスに迫力を持たせられるのは、さすが宙組と言いたくなります。数小節のソロでも、危なげない人もおらず、みんなが安定していたのも流石です。日々の公演で、コーラスを責任を持って支えているからこそ、出来ることなんだろうと思います。

【キャスト】

主な配役と、印象に残った生徒さんについて。

風色日向/ジョルジュ
この落ち着き、色気、歌い出した時の世界観、安定感、真ん中に立った時の収まりの良さ。「風色日向はこういう男役です!」と言っているような自信に溢れていて、この新公でひなこちゃんに落ちた人も多いのではないでしょうか。二度目の新公主演で、ここまで自分の個性を完成させてくる人も、なかなかいないよ。本役さんのコピーではない、自分の色を出せる人が好きです。それでいて、歴代のスターの面影を持っているのも素敵だなと思った。ひなこちゃんは、本当にいろんなものを『持っている』んだなあと思いました。
男役仕草が板についているのも良かったです。腕捲りをしながら電話をする場面、カメラを持って立っている場面。目を伏せた時の色気がすごい。キスシーンやスーツの着こなしには若さを感じましたが、それはこの学年でしか出せない味なんだと思います。
歌い出した時に、劇場の温度や湿度が変わるのも、ひなこちゃんの魅力だと思います。ややハスキーな歌声に、客席がぐっと引き込まれてゆくのを感じました。ソロを歌い終えた後、すぐに拍手が起きずに、小波のように拍手が起こったのには鳥肌が立ちました。客席が圧倒されて、拍手をするのを忘れて、歌の余韻に浸っていた。一発勝負の新公ならではの出来事だったと思います。彼女の歌を、芝居を、もっともっと見てみたい。そう心から思いました。
相手役と一緒にいるときの雰囲気も良いんだよね。わたしは娘役と組んでいる時の男役が好きなので、ひなこちゃんがこういうタイプなのが嬉しい。ただ背が高いだけではない大きさが、お人柄を表しているんじゃないかって思うんです。

春乃さくら/キャサリン
さーちゃんのキャサリンは、すっっごく頭が良さそうに見えた。偏差値で言うと75くらい。子供の頃から高等な教育を受けて来て、本人も努力して、脚本家としてのキャリアを築いてきたんだろうなっていうストーリーが見える役作りでした。口跡も良く、歌声も美しく、何より所作に品がある。そのお上品さも鼻に付くものではない。衣装の着こなしもスマートで、本当に抜擢してくれてありがとう!と思った。
舞台での立ち居振る舞いも、緊張の様子は見えず、落ち着いていて、そう言うところが知的に見えたのかな。やっぱりこれくらいの学年になると、ただ美しい、かわいいだけで舞台に上がらないから、しっかりと個性が見えてくる。「わたしはこういう娘役です!」ていう像がはっきりしている。
最後のカゲソロがさーちゃんなのも良かったです。初演と同じ演出なんですって。暗示的に聴こえて、良い効果だなと思いました。歌といえば、教会でのソロも良かったー!

鷹翔千空/ヴィセント
こってぃは何よりもビジュアルが素晴らしくて、何度もオペラを上げてしまった。マタドールの衣装がめちゃくちゃ似合うゴージャスなお顔立ち。メイクに工夫があって、とてもとても素敵でした。
銀橋のソロも迫力がありました。こってぃは今回で新公卒業ですが、最後の新公にふさわしいゴージャスなマタドールだったと思います。

亜音有星/アギラール
序盤は「緊張してるのかな?」と思いましたが、後半の見せ場に行くにつれて、ギラギラと輝いてゆく姿が印象的でした。こういう役を、楽しそうに演じているのがいいよね。『オーシャンズ11』の時は大汗かいて悪者を演じていたのに、今回はのびのびと悪者に徹していて、成長を感じました。

愛未サラ/エレン
お人形さんみたいだった!あのゴージャスなお衣装を着こなしているのは、華がある娘役さんだからだと思う!お芝居の方は、キャッチーな個性と印象が強ければ良かったかなあと思います。これからのご活躍に期待。

朝木陽彩/ラ・パッショナリア
めちゃくちゃ期待していたけれど、それ以上だった!全パート地声で攻めるすずこちゃん、まじ宙組のディーバ。エトワール待ってます!

泉堂成/タリック
本公演より出番が減っているので、印象が薄くなってしまうのは致し方ない。「やっぱり連れて行ってくれ」と泣きつくところは良かったです。きっとこれから、どんどん抜擢されてゆくことでしょう。楽しみにしています!

真名瀬みら/マックス
まなちゃんを孫のように見守り続けている組の組子なんですけれど、彼女のここ数年の成長っぷりには、胸を打たれまくりです。線も太くなったし、声にも深みが出たし、新公を創業してからのまなちゃんの活躍が本当に楽しみです!

雪耀れんや/市長
市長が出てきた瞬間の、客席のオペラグラス上がり率がすごかったです。そういうわたしもオペラ上げた。第一声から上手かったもん。

湖々さくら/アニータ
ネバセイは娘役の役が少ない!でも、占いの歌はフルで聴けて良かったです。

花宮沙羅/イザベラ
ネバセイは娘役の役が少ない!!ソロでお歌が聴けて良かったです。さらちゃんはいろんな場面に出ていて、チーム芝居をぐんぐん引っ張っているのが見られて、頼もしかったです。次作からは新公の長の学年なんですよね。はっや。

湖風珀/ピーター
本役より、湿っぽいお芝居をしていて、それがとても良かったです。ただ歩くだけでも、芝居の歩き方をしているのが印象的でした。

大路りせ/ビル
ココナツボーイのセンターで、それがめちゃくちゃ目を惹きました!華がある!宙組男役らしい輝きを、既に持っている人だなと思いました。

【好きな夜】

初日の夜と、新人公演の日の夜のタイムラインが好きです。賑やかで、楽しいから。東京の新人公演は、配信もされるようになったから、それについて呟いている人も多くて嬉しいです。
今作の新人公演は、ムラで公演できなかったので、本当に一夜限りのものになってしまたけれど、こうやって開催されて、しかも自分が健康で、立ち会えることに感謝の気持ちでいっぱい。