すーぱーからしちゃんねる

からしがみたものをまとめたものです。

宙組バウホール公演『リッツ・ホテルくらいに大きなダイヤモンド』

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5年振りのバウホール

【自分という存在の数パーセントが、ムラと呼ばれている花園で暮らしているってことさ】

先月もムラ遠征したのに今月もしてる…ッ!?
おかしくない??だって贔屓はもう7月に退団したというのに、からしちゃんムラにいるのおかしくない??
『なんでいるの!?』みたいな顔でリアクションをくださる方にたくさん遭遇して面白かったです。わたしが1番知りたいわ。なんでや。
さて、どうしてこの公演を観に行く事になったのかは、単純に随分前にお誘いいただいていたからです(すごい普通の理由)ご縁に感謝です。

【全体像】

フィッツジェラルドの原作は、おそらく学生時代に読んだことがあった気がするんだけど、記憶がかなり曖昧です。ほとんど覚えてない。掴み所のないお話で、あんまり印象に残らなかったんだと思う。観終わった後に村上春樹訳を読み返してみたんだけど、なんだこれは。
と、いうのも、このバウ公演。ものすごいインパクトのある作品だったのです。この掴み所のない原作をキムシン(木村信司)が色を付け香りを付け、音楽を乗せて踊らせて、しかも宝塚の魔法をかけて、コメディなのかロマンスなのかサスペンスなのか、どきどきはらはらしながら展開を見守りました。(原作の「まさにロマンス!」という場面にはちょっと笑ってしまった。フィッツジェラルドのロマンスって、そういうところにあるの???ちょっと待ってわかんねーわって)まさに滑り台を降りるような気分でした。最初は驚きながら、そして次はひゃっほー!と叫びながら。
バウホールって、実は『NW!宙』以来で、5年振りに入った。舞台装置はシンプルなものなんだけど、出来ることが少ない分想像力が掻き立てられて面白かったし、役者たちの演技でそれが見えてきたりして、それこそ「芝居を観た」感じがした。ぶっ飛んだ世界観も設定も、あのセットがあって、実感できたように思います。車が登場するシーンはとてもワクワクした!!
そして、音楽。「君に憧れて」の不穏なメロディから始まる本編と、「フォーリン・ユー」と繰り返されるメロディ。主演のもえこちゃん(瑠風輝)と2番手役のこってぃ(鷹翔千空)の歌がとにかく上手く表現力も達者。ふたりとも芝居の集中力が半端ないので、もう引き込まれまくる。歌詞も明瞭で、この作品の台詞の面白さ(キムシン作品なのに!)がちゃんと届いてくるのがとてもありがたい。そして宙組のアンサンブルの歌のうまさが際立って居た。コーラスだけでなく、それは芝居でも明白だった。
エトワールから始まるフィナーレも、それはそれは楽しくて、本公演のような構成に満足感も高まるのでした。そして、特筆すべきは、もえこちゃんとあやちゃん(夢白あや)のデュエットダンスです!ふわりと高々と舞い上がるリフトには歓声が上がるほどでした。

ジョンのもえこちゃんは完全に巻き込まれ系主人公なんだけど、役作りがしっかり固まっていたのと、真ん中としての説得力が半端ないので、キャラクターが立っていた。そこが一番良かった。ジョンが恋に落ちて、空をも飛びそうな気持ちで歌ったり踊ったりしているのが、とても爽快でした。時に、経済の学徒らしく持論を展開する姿も、クドさはなくて爽やかでよろしい。「どこか遠くの他人が、腹を空かせて〜」みたいなセリフには痺れました。なんという詩的なセリフでしょう!キムシンのセリフは無駄がないので退屈すぎるとか言ってごめんなさい。
もえこちゃんが、既に新人公演を卒業して、バウ主演を務めるまで成長されたことにまずびっくりだよ!ついこの間、初舞台を観に行ったような気がするぞ。ヅカヲタにとって5年10年はあっという間だな…。

キスミンのあやちゃん。お衣装はずっと同じだったけれど、髪型の変化で彼女の心境の変化を見せてくれたのが楽しかった。そもそも、わたしはあやちゃんの役作り、というか、娘役としてのキャラクターの作り方が現代的でとても好きなんです。そしてやっぱり、ダンスがいいよねえ!ジャズを踊り出すキスミンの可愛らしさに心が踊りました。
大人っぽい役をあてられる事が多い印象ですが、キスミンのような姫姫しい役もとても新鮮。ドレス捌きも美しい。

こってぃのパーシーは、とても面白く作られている役だなと思いましたが、もう少し深く掘り下げて面白くできる気もしました。しかしながら、終盤ジョンを殺そうと試みる場面での歩みには、張り詰めんばかりの集中力を感じて、ハッとしました。だからこそ、こってぃなら、もっと出来ると思った。

トム(松風輝)ジム(実羚淳)サム(水香依千)の不気味さは夢に出てくるかと思った。この3人組なくしてはこの作品の世界観は成り立たないよね。良い仕事をされていました。

そうそう、花宮沙羅ちゃんが『リス役』だと耳に入ったのが、開演直前で『どの程度リスなんだろう』と予想しながら客席に着いたのがめちゃくちゃ楽しかったです。実際のリスは思っていた以上にリスで、かわいくって、楽しかったです!
今回スチール入りしていた若翔りつくんも、持ち味を最大限に活かした役で、とても格好良かった。プロローグの学生センターのフレッシュさとのギャップよ!
最近お気に入りのあられちゃん(愛海ひかる)もたくさん見られたし、澄輝ismの継承者、真名瀬みらくんも、自分の持ち味を最大限に活かしているのが見られて楽しかったです。

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いつも謎のテンションで食べている

【ここがわたしのアナザースカイ】

このムラ遠征が楽しすぎた。待ち合わせをしていないのに、お友達数人に遭遇したこと。客席に着いたら、目の前にお友達が座っていて大爆笑したこと。面白すぎた。さすが、ムラはパワースポットですわ。

そして、からしちゃんはこれからも、贔屓がいなくても遠征するのでしょう。
なぜなら、ここがわたしのアナザースカイなのだから(お後がよろしいようで)