すーぱーからしちゃんねる

からしがみたものをまとめたものです。

1566日のからし語り

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岩波文庫哲学書)と調和しているッ・・・!?

魔法にかけられて

その日から57日の世界を歩いてきて、やっと目の前が晴れてきた気がする。

2019年7月21日、宝塚歌劇団 宙組男役スター澄輝さやとさんは、すみれの園を旅立った。
宝塚ファンは、自分の本命・推しのことを『ご贔屓』と呼ぶ。その由来はよく知らないのですが、ファンの先輩(主に親より年上の世代 )から「ご贔屓はどなた?」と聞かれたりするうちに自分のボキャブラリーの中に『ご贔屓』という存在が座っていた。
本命も推しもご贔屓も、その人にとっては1番の輝く星である事には変わりない。

わたしのご贔屓、澄輝さやとさんに恋をしたのは、2015年4月7日のことで、その日の事は今も鮮やかに思い出せる。色褪せない、輝きを失わない大切な宝物です。
わたしが宝塚バウホールで贔屓に落ちてから、白い服を着て袴姿の贔屓を見送るまでを、数えてみると1566日間。おお、と思った。これが長いとも短いとも言える判断材料はない。でも、おお、と思った。
そのうち、何度観劇したか、とか何度お茶会に行ったか、入り出待ちに行ったか、何通のお手紙を渡したか…そこまでは数えていない。でも、1566日である。わたしたちは数で物事を推し量ったり、所属欲を満たす事でファンである自分と他を区切ったりしがちである。それでも、会員だろうが非会員だろうが、入出待ちに何百回と参加していようが経験がなかろうが、ファン歴が長かろうが短かろうが、各々が持っている輝くものは、比べられないくらいにどれも美しく輝いている。年数じゃない。回数でもない。みんなそれぞれに愛があって、それぞれのエピソードがある。それを踏まえても、やはり、おお、と思うのです。

1566日間、わたしは夢ばかりを見ていたのではないように思う。贔屓を応援して、ただひたすらにその輝きに憧れて、恋をして、自分が自分でいることが出来た。側から見れば「夢見てんじゃん」って言われても仕方ないと思うけれど、わたしにとっては観劇や入り出待ちや、友だちと楽しくやっている瞬間の方が日常であった。日常っていうか、現実感っていうかリアリティみたいな手応えがあった。逆に、せっせと家事をこなし、美容にも精を出し、バリバリと仕事をこなす自分がいる世界の方が非日常的で夢のようだった。特に東京公演中の無駄のない生活(一切ダラダラせずに掃除洗濯、空き時間にジム、遅寝早起き、たまには恋人にも会って、お手紙を書いてプレゼントを用意して、仕事は絶対に定時に仕上げて日比谷へダッシュマンと化す…)には、まさにスーパーウーマンのような自分を見出してはふと、びっくりしていた。あきらかに全てが自分なんだけれど、自分じゃないような。

1566日間、どこを切り取っても楽しかった思い出ばかり。嫌なことや辛いこと、腹の立つこともあった筈なんだけど、あんまり覚えていないな。夢を見ていたというよりは、魔法がかかっていたのかも知れない。


【贔屓のいない57日間】

実は、千秋楽の出待ちで大怪我を負っていました。本当に、何度も何度も走っていたあの道で、最後の最後に大怪我するだなんて、お話が出来すぎている(笑)大千秋楽という日常の中の非日常に興奮して、身体は元気だったし気持ちは昂ぶっていたしで、大したことないでしょ!と思って翌日病院に行ったら大変な事になっていて、診断名を聞いた瞬間笑ってしまった。と、いうことで、贔屓のいない朝は不自由な身体と共に、自宅安静という毎日から始まりました。
「今日から気持ち新たに頑張るぞ!」と思っていた仕事に行くことも出来ず、慣れない3本足で炎天下の中せっせとリハビリに通う。スーパーで転ばされて大号泣したり、仕方なく出勤した日は満員電車で助けてもらえず怖い思いをしたり、誰にも会えなくて『どうぶつの森』の住民の方々に虫を配ったりするしか出来ない日々。そんなん、精神的にツラくなるに決まってんじゃん!!
まじで辛かったです。今もまだ身体は本調子ではないしリハビリにも通っていますが、この時のメンタルは、『輝く星を見失った、砂漠の旅人』のようなものでした。
そんなメンタルを救ってくれたのが、一緒に贔屓を応援する仲間たちとの思い出の写真集を作る作業でした。贔屓の退団発表があってから「みんなとの思い出をフォトブックにしたい」と思い立ち、何気なく撮った写真や、下手くそすぎる自撮り集合写真などをコツコツと集めてもらっていたのです。とても仲の良い会だったので、特に何もなくても一緒に写真を撮りあってきたのです。全部で500枚以上もありました!どういうことなの(笑笑)
会の中でも特に仲良くしている4人(そして贔屓)のために、せっせと思い出の写真を整理、編集する作業がとてもしあわせでした。
あとは有給休暇を残しておいて、本当に良かったと思いました。まじで仕事も辞めなくて良かった。日々治り行く傷と薄れる痛みに、わたしが贔屓のファンだった証って、どこにあるんだろう。時間が経つにつれて、思い出が身体から剥がれてゆくような気持ちになる。いつまでこの思い出と一緒に居られるんだろう。みたいな、ややヘラっている思考に陥ったりもしましたが、今日この文章をフラットな気持ちで打ち込めているという事は、わたしも元気になってきたんだなあと思うのです。


【まだ見ぬ未来の贔屓】

贔屓が退団したので、投資信託を始めたり、個人年金に加入したり、まだ見ぬ未来の贔屓貯金を始めようとしたりと、わたしはまだまだ宝塚ファンでいるつもりのようです。実は、贔屓が退団してからも月1でムラ遠征してるんですよね。意味がわからない。顔見知りの人に『何でいるの!?』みたいな顔をされまくるんですけど、わたしだって『なんでや』って思ってます!!笑
と、言うわけで長らく更新をお休みしていたこのブログも、そろそろ復帰したいと思っております。拗らせ視点の感想ブログではございますが、これからも『すーぱーからしちゃんねる』とわたしをよろしくお願い申し上げます。



【フォトブック作成についての覚書】
・今回お世話になったフォトブックのお店
www.photoback.jp



・BUNKO 96ページ 1冊3734円
www.photoback.jp


帯や背表紙、中表紙、文章編集がこだわれるところ、文庫サイズで保管がしやすい点が気に入って選びました。

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はじめて作ったんですけどね


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