すーぱーからしちゃんねる

からしがみたものをまとめたものです。

宙組大劇場公演『オーシャンズ11』千秋楽

令和元年 5月27日 


とあるハッピーなファンの日記。

 

 

 

 


本当は日曜日のもっと早い時間に到着したかったけれど、仕事がどうにもならなかった。
日曜日の夕方の東京駅には、人が溢れていて、わくわくした雰囲気があった。改札を挟んでお別れを言う人。ディズニーランドのお土産をいっぱいに抱えている人、仕事帰りの人。
初日遠征の飛行機では、離陸中ずっと泣いていたくらいだから、今日も泣きながら西へと向かうのかも知れないと覚悟していたけど、涙は出なかった。自然とわくわくしていた。


名古屋駅に停車する。上りの新幹線に修学旅行生がいっぱい。男子が窓越しに手を振ってきたので、振り返してあげたら、ハニカミながらもめちゃくちゃ喜んでくれた。中学生かなぁ。楽しい修学旅行だったかなぁ。
贔屓が卒業しても、旅は続けたいなと思った出来事だった。


梅田の宿は日曜日だからか空いていて、サービスでお部屋をグレードアップしてくれた。綺麗なお部屋でうほうほしたけど、枕が拷問かと思うくらいに硬かった。


翌日の支度をして、お手紙を書く。


『澄輝さやと様


   大劇場ご卒業おめでとうございます』


自分で書いていて泣く。やっぱりさみしい。

 


友だちから、ファン広場での様子を教えてもらう。昔からずっと思ってたけど、ファン広場ってすごくいい名前だし、素敵な空間だよね。しんとしてて、ちょっぴり背筋が伸びる感じ。この場所から贔屓を見送り、お迎えするのは明日が最後なんだなあ。


早く寝ようと思ったけれど、気持ちがまごまごしてしまって、上手に眠れない。


4年間、楽しかったなぁ。楽しいことしかなかった。やりたい放題やった。何もかも全力だった。仕事も全力だった。全力で応援したいから、自然と仕事も頑張れた。そしたら、いろんな人から評価されて、立場も変わった。
婚期を逃しちゃったなあ(笑)という場面もあったけれど、それはわたしには向いていないご縁だったのでしょう。
いつか必ず来るこの日に『もっと〜しておけば良かった』と思いたくなかったの。うん。全然そんな気持ちはありません。
大人になってから、こんなにきらきらした毎日に出会えるなんて、思ってなかった。今はもう、一分一秒が愛おしい。眠れなくてもだもだしている瞬間も。


本日は晴天。5月の日差しに照らされた白服が、さらに輝いている気がします。人生で二度目の白服でした。
待ち合わせ場所に30分も早く着いてしまった(笑)
おはよー、と挨拶を交わす人たちみんなが白い。清々しい白に涙が滲みそうになったけど、この日に撮った写真のわたしは、どれもみんな笑顔で楽しそうでしあわせそうだった。ここで『千秋楽の日の大劇場と快晴のお空です!』みたいな写真を貼れたら、ブログとして格好良いと思うんだけど、そんな写真が一枚もない!!笑
全部みんなが笑顔で嬉しそうに写ってる。あとは食べもの。あまりにも日常的な風景で、寂しい気持ちになる瞬間がなかった。


世の中のありとあらゆる出来事がSNSで発信されまくる昨今。知りたいと思えば、どんな情報だって手に入ってしまう世界。でも、この日わたしが経験した時間と場所は、名前も顔も知らない誰かに消費されることもない、愛に溢れたものでした。きっと、その場にいたひとりひとりの目が同じものを見て、聞いて、感じて、それぞれの世界を尊重しあって、大切な時間を過ごしていたのだと思います。わたしたちの王子さまを中心に、それぞれの世界を見ていた。
公に語られる事の無い世界があり、愛で守られている世界がある。それも美しき伝統なのだと思います。千秋楽の朝に、こんなに優しくてあったかい時間があるだなんて知らなかった。
でもね、ちょっとだけ。
今までの人生で、1番気持ちの良い猛ダッシュだったなー!笑
曲がり角を曲がって見えた光景、楽屋口の壁のヒヤッとした感覚は一生忘れないと思います!笑笑


開演まで、みんなで中山寺のレストランでパスタを食べた。
大劇場の入り口で写真を撮りまくった。
ロビーの男性職員さんを困惑させるくらいに浮かれたポーズで集合写真を撮った(最高の出来であった)


なんかもっと、まな板の上の鯉のような、処刑を待っている時のような気分で幕が上がるのを待つのかと思いきや、終始わくわくしっ放しだった。
いつもは入らない場所で、拍手が入る。ああ、あったかいなあ。千秋楽だなあ。
プロローグ、スポットライトと拍手を浴びるあっきーが、とてもとても気持ち良さそうだった。わたしも気持ちが良かった。ちょっと泣いた。


宙組オーシャンズ11のJUMPは、今までの公演よりも特別なナンバーに聞こえた。あの高揚感、無敵感に心が震えながら、あっきーの晴れやかなダンスを見守る。
カジノ台でゆりかちゃん(真風涼帆)と満面の笑みで向かい合っているあっきー。ソールのアドリブで、中の人が出てきちゃっているフランクさん。自然と笑顔になってしまうこの作品に感謝した。


あっきーがフィナーレで退団者のコサージュを胸に、階段を降りてきた瞬間に、やっと退団を実感した。金色の土台に赤いばら(ばらの花に見えたけど、ばらだったよね?)このチョイスに、あっきーの男役魂を感じて感激した。あっきーは、ロイヤルプリンスを自称するほどに、白馬の王子さまのような出で立ちが持ち味の男役さんだけれど、実は赤いばらの様に情熱的で、攻めの姿勢を持った、ギラギラした色濃い顔も隠し持っている。その顔を前面に押し出せる最期のフィナーレナンバーに、このギラギラしたデザインのコサージュを選んでくれたことが嬉しかった。
銀橋に出て来る時、一瞬だけ2階席に強い目線を投げてくれたこと、オペラ越しにその視線を捕まえられた瞬間の高揚感は、一生忘れたくない。
パレードのコサージュはスッキリとした白のカラーで、あっきーの持つ高貴な魅力、ロイヤルプリンスの顔も見せてくれた。


ロイヤルプリンスは普段から自分の芸や自分の努力について積極的に語るタイプではないけれど、自分の男役芸やタカラジェンヌとしての在り方にかなりの拘りと矜持があるひとだと思っている。おしゃべりなわたしは、そういうところに憧れるし、そういうところが好き。
だから、最後の挨拶に、どんな言葉を選んで、どんな景色を見せてくれるのか、とてもとても楽しみにしていた。
あっきーは神々しいくらいの光を放ち、大劇場の空気はすっと研ぎ澄まされていた。ご自身の宝塚人生を短い言葉で振り返り、15年間で得た宝物について教えてくれた。今まで見た事のない澄輝さやとの顔をしていた。厳粛で、神聖な時間だった。


なんとなく、ブーケは青いばらかな?と予想していた。なんでそう思ったんだろうね。
カーテンコールでは、自らゆりかちゃんの羽根に突っ込んで行き、雉羽根に埋もれるあっきーは、いつものあっきーだった(笑)


フェアウェルパーティーなるものは初体験だったのですが、宙組が更に大好きになりました。こんなに笑わせてもらっていいものなの!?ってくらいに笑った。同じことばかり言いますけど、楽しかった…。このような場所と時間を作ってくれた人たちに、とても感謝しています。最後には、今までわたしが一方的に投げまくってきた愛を、あのようなかたちで返してくれた事が、本当に嬉しかったです。


贔屓の卒業公演の千秋楽って、もっとせつなくて胸が張り裂けそうで、さみしくてたまらない日になるんだろうと思っていた。でも、朝起きてから寝るまで、一瞬たりともそんな気持ちにはならなくて、ただひたすらに楽しくて、いっぱい笑って、涙は流れてもつらい涙じゃなくて、心がずっとあったかくて、清々しい1日でした。


フェアウェルパーティーの後は、同室のお友達と0時に乾杯して、禁断の深夜のスナック菓子をもぐもぐして、ほろよいを飲んでほろ酔い状態のまま「カリカリのベーコンが食べたい…」と言い放ちながら、いち早く寝落ちました。白服だらけの他退団者会のお友だちの部屋に、黒Tシャツとリラコ姿で突撃したら「残念!ドレスコードがあるんだ」と追い出されそうになったのも楽しい思い出ですww

 

 




澄輝さやとさん、あっきーは、いつもずっと王子さまだった。日常の中で、ずっと輝いていた。お星さまのようでもあった。暗いお空でぴかぴか光っていて、昼のお空には見えないのだけれど、いつもそこに居てくれることを知っているだけで、元気が出た。
強い光に照らされて光るひとではなく、自ら上品に光るひとだと思う。


そして、王子さまの元に集まる人たちの中で、特に仲良くしてくれたお友だち出会いは、感謝してもしきれない。あっきーがくれたもののうちで、1番嬉しくて輝いている宝物です。どうもありがとうございました。まだ、わたしたちの王子さまは王子さまを続けてくれるから、最後の日まで、よろしくお願いします。東京の方がホームだし、本当に最後の最後だから、泣いたり喚いたりするかも知れないけど。自分がどうなっちゃうのか心配ではあります。


最後に、これだけ楽しくファン生活していると「何を目指しているの?」と外野から聞かれる事があります。自分でも突然冷静になって『何やってんだろ』と白眼を剥くことはありますが(クレカの明細を見た時とか)わたしはこのハッピーなファン生活で「魂の充実を図っている」のだと思っています。目指しているのは、より善き人生です。

 

 


人生一度きり、どうせ生まれて死ぬのなら、思い切り楽しもうぜ!


ブラボー!あなたに出会えた人生!!