すーぱーからしちゃんねる

からしがみたものをまとめたものです。

星組東京宝塚劇場『GOT OF STARS-食聖-/Eclair Brillant』

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しあわせを めしあがれ

【星国の思い出】

初めてシンガポールに行ったのは、小学校3年生か、4年生くらいだったと思う。叔父がシンガポールに転勤になって、「遊びにおいでよ」と呼んでくれたのである。妹はまだ3歳くらいの幼稚園だった気がするので、わたしはもっと幼かったかも知れない。それから、田舎を持たないわたしたち家族は、夏休みや冬休みの旅に、成田空港からチャンギ空港へと飛んだ。
わたしの記憶の中のシンガポールは、20数年前のまだまだ途上中の熱が渦巻く経済都市だ。マリーナベイサンズやユニバーサルスタジオの影も形もない無人島のビーチで、一日中遊んでいた。
あの頃のわたしが、一番英語が話せたと思う。シンガポールの街にも、怪しい英語を話す人、話せない人、英語で話しかけても中国語で返してくる人、そんな人たちばかりで、下手な英語を話すことに羞恥を抱かなかった。わたしの英語は未だにシンガポール訛りで、やたらと"can"を使って会話を成立させようとしたり、母国でとっさに出てきた英語がめちゃくちゃ訛っていて、わたし自身を含めた日本人に嘲笑されたりもする。多言語にまみれたシンガポールならではの寛容さが、大好きだ。
ホーカーセンターのプラスチックの椅子、足元の残飯を狙う野良猫、優しいお掃除係のおばちゃん、言葉が不自由なわたしに、一生懸命メニューを説明してくれる従兄弟達(後に、叔父は現地の女性と結婚した)派手な色をした美味しくない謎の炭酸ジュース

だからなんというか、宝塚歌劇シンガポールを舞台にすることには、ちょっとだけ寂しさを覚えた複雑な心境がある。

【GOT OF STARS-食聖-】

ミュージカル・フルコースっていうか、クッキング・コメディだった(笑)
なんちゃってシンガポールにはさほど違和感は抱かず、ごちゃごちゃした舞台も楽しかった。お披露目公演であったOSOの紅ゆずるを思い出すような軽快なキャラクターが、彼女らしくて痛快だった。わたしが宝塚に求めている『ぶっ飛んだ世界観』が見事に繰り広げられていて、終始ニヤニヤしたり、笑ったりしっぱなしだった。途中で「あ、そういえばこれ、さよなら公演だったわ」と思い出す位に肩の力を抜いて、リラックスして観られる演目でした。そういえば『幕末太陽傳』も、さよなら公演にしてコメディだったっけ。いずれにしても、組子とトップがたくさん絡むさよなら公演は、とても見応えがあります。紅さんが作り上げた星組を、この作品で見せてくれた、そんな満足感があります。
観劇後は草ばっかり生やした感想しか出てこなかったんだけれど、今思い出しても草ばかり生えますw それだけ楽しんだってことよね。

紅さんとこっちゃん(礼真琴)が銀鏡でラップバトルを始めた瞬間は、まじで「どうしよう!?wwwwwwww」と戸惑ったけど、最終的には声出して笑いましたゴメンネ!ヒャダイン氏作曲の主題歌も、ノリが良くって楽しかったです。星組に合ってた!
正直、あーちゃんのヒロイン感には違和感があったのですが(ヤンキーっぽいキャラクターが宝塚的にちょっと…。ホーカーズのちゃきちゃきした女子くらいでも良かったのでは。あまりにも漫画的だった)はるこちゃん(音波みのり)のお母さんのキャラクターは現代的で素敵だった。ポイズンクッキング女子を嗤うネタが個人的に好きじゃないだけです。

終演後には餃子が食べたくなるのも楽しかったな!まあ、イタリアンを食べましたけど(あまのじゃく)その後の食事会で『満漢全席だーっ!!』とはしゃぎながら餃子を食べたのは良い思い出。星担のみなさんは、楽しい餃子の思い出がいっぱいなんだろうなー!わたしが好きなシンガポール料理はフィッシュボールミーです。

余談ですが、紅さんのファンクラブの白服が、コック服だったのが、とても印象深いです。かわいかったなー!あの白服が見たいが為に、わざわざチケット出しを見に行きました(笑)ご贔屓のさよなら公演を思いっきり盛り上げて楽しもう!という会のみなさんのイキイキとした笑顔がとても輝いていました。

【Eclair Brillant】

ここ数年で見たレビューの中で、最高峰に素晴らしいレビュー体験でした。ギラギラしてないのに充分に煌めいている、上質なレビューでした。そして、紅さんの存在感のお上品なことといったら。個性大爆発なトップスターが、ここまで統率の取れた作品を創り上げたということに、まず大感動しました。素晴らしいトップスターでリーダーシップだったんだろうなと思いました。

自由気ままに歌う一番星の紅さんの、夢夢しい王子様っぷりに感激したり、まるで絵画のようなこっとんコンビの美しい場面に没頭したり。美しい瞬間に溢れたレビュー体験だったのですが、最も心が奪われて、オペラグラスを挙げるのが惜しいと思うほどだったのがボレロでした。個を見るより全体を見たいと強く感じた場面で、2階席センターからの眺めは、絶景でした。あの緊張感と美しさ、頂上に君臨する紅ゆずるの求心力に、最後の舞台にして彼女を誤解していたことに気づかされました。

紅あーのデュエットダンスも素敵だったな。ひとつひとつの仕草に、お互いへのリスペクトが溢れていて、見ているだけで心がいっぱいになりました。


【もう花組千秋楽だってよ】
相変わらずペースダウンが激しいブログでごめんなさい。理想は公演期間中にアップなんだけど、追いつけないんだよー!
そして、毎度ちょいちょい挟んでくる自分語りに付き合ってくださる読者の方は、本当にお優しい。
新生星組のお披露目公演も観に行けたらいいなあ。愛ちゃん(愛月ひかる)の二番手だって、楽しみなんだもん!