すーぱーからしちゃんねる

からしがみたものをまとめたものです。

再会:星組東京宝塚劇場『眩耀の谷〜舞い降りた新星〜/Ray-星の光線-』

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ただいま。おかえり。

【再会】

3月10日に東京宝塚劇場雪組の『ONECE UPON A TIME IN AMERICA』を観てから、約5ヶ月ぶりの宝塚観劇でした。
雪組を観劇した時には、物々しい雰囲気があったものの、久しぶりの劇場の雰囲気は、3月のそれよりも少しだけ穏やかな気がしました。しかしそれは、観客だけが感じていた空気だったのかもしれません。再びの公演中止のニュース、本来なら今日はわたしの2回目の星組観劇の日だった訳で。舞台に立つ人やそれを作り上げている人たちには、一回一回、幕を上げるのに相当なプレッシャーと覚悟があったのだろうと、今となっては思います。

日々、目紛しく状況が変わってゆく。それに追いつくので精一杯。自分の感性を保っているので精一杯な、張り詰めた生活が今日も続いています。
今回の記事では、『再会』をテーマに、星組観劇で感じたこと考えたこと、見たもの思い出したことをまとめようと思います。


【開演前】

友の会で当選したチケットを開演3時間前に発券して、いつものお店でサッとランチを済ませ、劇場に向かいました。会場に立ち入っただけで目が潤んでしまいました。でも、そんな気持ちで入口のシャンデリアを見上げていたのは、わたしだけではなかったように感じます。それでも、基本的にハッピーなオタク体質なので、体温を測る画面に顔をはめて『これ、スカステで音くり寿ちゃんがやってたやつ!』とミーハー心を躍らせたり、劇場スタッフさんが夏服になっているのに気付いて、季節の移り変わりを感じたり、売店萩の月を手に入れてエコバッグを膨らませたりしました。
感染対策は徹底していると思いました。特に、トイレの個室の扉には『蓋を閉めてから流してください』との張り紙がされており、感心しました。

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ソーシャルディスタンスのマーク

客席に座ると、そこはとても静かでした。誰かが「久し振りー!」と会話を始めれば、その会話が客席中に響き渡り、それに気が付いたのか、自ら会話を慎む…くらいには静かでした。ぱらりぱらりと、プログラムをめくる音が響き、ひとつ空いた隣の席のおじさまの「静かだな…」という独り言が耳に飛び込んでくる。確かに宝塚歌劇を観に来たのに、お馴染みの、ホームだと思い込んでいる劇場なのに、まるで海外の、違う文化圏の劇場に来てしまったのかのようで、不思議な感慨がありました。ひとつ飛ばしに埋まった客席には、寂しさよりも『異文化』というか『新たなる文化習慣』のように感じられました。客席真っ赤っか時代の宝塚歌劇も知ってはいますが、それよりも作為的で、感染症の予防という目的を持って作られた空間的余白に、新しい生活様式を強く感じたのです。
開演5分前の『すみれの花咲く頃』のチャイムが、客席に響き渡ります。『え?これって、いつも、ロビーまでしか聞こえないよね?』と、驚きました。期待と静寂に包まれた客席に響き渡るチャイム。いよいよ、幕が上がります。

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わたしたちを守ってくれて、ありがとう。

【眩耀の谷〜舞い降りた新星〜】

いやぁ、よくわからなかったんだけど、こっちゃん(礼真琴)が歌うとなんか納得しちゃうし、ひっとん(舞空瞳)が踊るとなんか納得しちゃうんだよね。ずるいわー。わたしは、こういう経験をすると、作品を『印象派』とカテゴライズする。もちろん誤用だし、自分流の言葉遊びなんだけど、『まぁ印象には残ったけど、わたしにはぼんやりとしか見えてこなかったな〜』みたいな感じ。というのが感想です(薄い)
これは本当にただの言い訳なんだけど、5ヶ月ぶりのオペラグラスに、眼球の筋肉が追いつけず、ずーーーっとマゴマゴしてイライラしていたので、お話に集中出来なかったのです。お化粧や表情を追いたくてオペラを除いても、30秒くらい視界がぼやけて、徐々にピントが合ってくるんですよ…。つらかった。何かしらのサプリメントを飲んでから観劇するべきだった。
からしちゃん的には、いろいろとツッコミたいところが盛り沢山だったんですけれど、今のメンタルではちょっと言及できませんし、読みたい人もいないだろうと思うから黙っておきますね。でも、一つだけ言いたいのは、せっかく生身の人間による生のお芝居が見られるのだから、もっと人との関わり合いや想いの交差が目に見える作品だったら良かったのになあということです。


【Ray-星の光線-】

わたしはショーやレビューが大好きで宝塚歌劇が大好きなんですけれど、この喜ばしい再開があまりにも嬉しすぎて、頭がおかしい感想になっている上に、全体的に捉えすぎて、個々の生徒さんに着目して語るところまで到達出来ませんでした。ごめん、語りたい気持ちはいっぱいあるんだ。でも、あまりにも頭がスパークしていて、記憶が光と音と美で埋め尽くされているのだよ…。
幕間に映し出されていた映像が動き出して、音楽が盛り上がり、こっちゃんが登場するまでのわずか数十秒でテンションのメーターが振り切れてしまい、わくわくしすぎて意識が飛びそうになった。トップスターという輝きと自信を纏い、こっちゃんの煌めく存在感に、心の中で『待ってました!』と叫びました。そして、幕が上がって組子の顔が見えた瞬間、感情が最高瞬間風速を記録して、びっくりするほど涙が出たのです。コンタクトが流れそうになったので、指で眼球を押さえたかったけど我慢しました。嗚咽が漏れるのでマスクの上から押さえるも、とめどなく涙が流れるので、とりあえずすべて諦めて手拍子に専念しました。両隣が空席で良かったと、心から思いました。アップテンポな主題歌で、力強いデザインのお衣装で、煌めく色彩で、瞬く間にスターが入れ替わり立ち代り踊り歌う。出演者の人数を減らした寂しさは、全く感じられませんでした。もう、スターに拍手ができるのが嬉しくって、それに応えてくれるスターが目の前にいるのも、本当に嬉しくって!生まれて初めて宝塚を観た人みたいになりましたた。脳からアドレナリンがバシャバシャと分泌されるのがわかった。最近使ってなかった部分が活性化してるのを感じた。なんかヤバい人みたいになった。
プロローグ→中詰め→ロケット→フィナーレの順で脳内に走る衝撃の波が強くなって行ったのですが、特に"You Are My Sunshine"がめちゃくちゃ良くて、こんなにシンプルな曲なのに、なんでこんなに感動するのか涙が出るのかと、泣きっぱなしでした。銀鏡での歌い繋ぎの度に涙が溢れる。泣いてばかりいますが、すごく元気が湧いてくるというか、組子の笑顔に、一生懸命にこちらにエネルギーを発してくれているのを受け取って、とても心が暖かくなってゆくのをひたすらに感じていました。


【終演後】

宝塚を観てない期間のわたし、脳が死んでいたのでは…?と思うくらいに、観劇後は視界が世界が、全く違うものに見えた。なんか目が覚めた感じがした。

そして翌々日の夜、公演中止のニュースを知る。幕を上げるのが、こんなにもこんなにも難しいことであったかと痛感している今日です。実は、公演を見ながら、心の中で小さく『また星組さんに会えますように、またみつる君(華形ひかる)に会えますように』と祈っていた。きっと、まだご贔屓との再会を果たせていないファンも大勢いらっしゃることでしょう。わたしは宝塚歌劇を愛しているし、フアンのことも愛している。だからはやく、この愛に溢れた世界を取り戻したいよ…。みんながご贔屓と、宝塚歌劇と再会できますように。