すーぱーからしちゃんねる

からしがみたものをまとめたものです。

【初日遠征日記】宙組大劇場公演『オーシャンズ11』

【せつない旅】

 

f:id:karashi-channnel:20190424163236j:image


初日を迎える前に、お稽古待ちに行きました。退団を発表した贔屓(澄輝さやとさんが、わたしのご贔屓さんです)の顔がひと目見たくて、夜行バスに揺られ、本当に一瞬だけ。姿もほとんど見えず、声もほとんど聞こえずだった。でも、手紙を渡して、個人的にほぼ毎公演プレゼントしているものを、今回も手渡し出来たことにホッとした。花組さんが千秋楽を終え、閑散とした休演期間のムラは、とてもさみしくてさみしくて。贔屓の前で泣くことはなくても、帰り道には涙が出ました。桜がまだ咲く前の、春を待ちわびているムラを背に、新幹線に乗って東京へ帰る瞬間に「なんてせつない旅なんだろう」と、しみじみと思うのでした。

 


【期待】


この『オーシャンズ11』という作品が、わたしは大好きなんです。映画版も好きですが、星組版も花組版も大好きで、半券を数えたら20枚近く出て来て、当時はぶらっと東宝に行けば当日券が買えた時代とはいえ、見過ぎだよね!花組版をいっぱい観ました。
トップスターがオトナの男で、ダークヒーローで、その相棒もお洒落で、音楽もダンスも格好いい。ヒロインのトップ娘役もオトナの強い女で、そのライバルも強くて自分をしっかり持っていて表現している。10人の仲間たちをスカウトして行く場面も好きで(でもるろ剣とかでこの展開を多用されたものだから、若干の飽きがきてるのは否めません)フィナーレのトンチキHIPHOPも許せるくらいにデュエットダンスがスゴツヨでバチバチで、詰まる所たいへん大好きなんです。中身のない、ただただ派手で華やかで、ちょっとだけワルで、ポジティブなメッセージが満載なこの作品が大好き。
贔屓の退団公演としては、わたしにとっては諸手を上げて大喜びです。ショー付きの作品で、餞別場面があって…という退団作品だなんて贅沢は言わないもん。前の贔屓をグランドロマン謎の役替わり公演で見送った身としては、これ以上何も望みますまい。望みますまい。


ゆりかちゃん(真風涼帆)がトップに就任してからずっと「宙組オーシャンズが見たい」と大騒ぎしていたくらいには、ゆりかちゃんのダニーを待ち望んでいました。新人公演でやった役をトップになってからもう一度挑戦させるのが最近の潮流みたいだけど、しかもそれってどうなのと思っていたけれど(なんかズルい気がするし、ひとつでも多くの顔というかキャラクターを残して欲しいと思うから)こればっかりは大歓迎でしたわ。
まどかちゃん(星風まどか)のテスにも期待していました。かわいい役ばかりをあてられるまどかちゃんだけれど、本当は貴婦人やオトナの女の方が似合う役者さんだと思うんです。『神々の土地』新人公演のラッダみたいな、強い女を演じて欲しかった。あとは、NYのディーバとしての説得力ね。ポスターのスタイリングも格好良かった。
演目が発表されてから、絶対にダイアナはせーこちゃん(純矢ちとせ)でルーベンさんはりんきら(凛城きら)じゃなくちゃ嫌だ!!というくらいに妄想配役が捗った。キキちゃん(芹香斗亜)のラスティは既に決まってたんだよね。じゃあ、ベネディクトは愛ちゃん(愛月ひかる)か!?専科に行っても、いきなり特出するかもしれないし!と思っていましたが、そこはずんちゃん(桜木みなと)でしたね。個人的にベネディクトという役に期待値が高いこともあって、ずんちゃんはこの作品で確変してくるに違いないと確信しました。
『もしかしたらイレブンから外されてしまうかもしれない…』と密やかに心配していた贔屓の配役も、ソロの場面があるフランクだったので嬉しかった。過去に「ベネディクトを演じてみたい」と言っていたこともあったので、その姿が見たかった気持ちも少なからずは、ありました。    でも、オーシャンズ11が好きで…、という話を聞いていたので、イレブンの仲間たちであれば楽しく格好良く、男役の集大成を見せてくれるに違いないと、わくわくしながら初日を迎えました。

 


【全体像】


何度も何度も想像した、『宙組オーシャンズ11』が目の前に現れた事に感動しまくりました!!
ゆりかダニーの囚人服が引き抜かれたタイミングで拍手するのが夢だったんですけど、普段はビビリで拍手を切れないわたしも勇気を出して拍手をしました!!例え舞台奥に贔屓の姿が見えても、そこには謎の使命感があって譲れなかった。
待ち望んでいたゆりかダニーの落ち着いた演技、テスへのぞっこんっぷり、ラスティとの肩の力の抜けたお洒落な会話が目の前で繰り広げられるんだから、尚更に興奮した。これでもかと結婚指輪をテスにアピってくるダニーがすんごくツボ。そこの視線だけのやりとりが妙にリアルなんだよね!
まどかちゃんのテスは、かわいい方向に新調された衣装に足を引っ張られて、苦戦していた印象があります。今までの白菜ドレスもどうなのと思ったけれど、今回のサニーレタスは幼稚に見えるデザインでがっかりした。あれはティーンエイジャーのドレスだよ。ベネディクトの趣味かと思えば納得するけど。テスへの演出が、わたしは納得できていません。まどかちゃんのお芝居は、甘かった滑舌が改善されており、イイねと思うところもありますが、意志のはっきりしたアメリカ人女性としては主張が薄いかもと思います。テスはもっともっと強い女であって欲しい。まだまだビンタに迫力が、ない。感情が発散し切れてない印象。WSSのマリアが出来たんだから、テスも出来るはずだよ。カワイイの庇護を突き破って!がんばれ!
元々ラスティーは2番手がやる役というイメージではないのだけど、キキちゃんのラスティーには余裕を感じる。余裕っていうか、ゆとり?もう少しJUMP!に説得力が欲しい。平たく言えば、キキちゃんは格好良すぎるのかもしれない。「サクセス知らずのオレの人生」があんまり想像できないなー。だって彼女もめっちゃカワイイし、なんか器用そうで今までなんとか上手いこと要領よくやってそうだもん。
海11の2番手格はベネディクトだと思っているので、ずんちゃんには、あと少しアクの強さが出るといいなぁ。手下達のキャラが強すぎて、真ん中を見るまでに至らない感がある。あと、個人的な好みだけど、ラテン系の男はもう少し胸板を厚くしてほしい。身長が高くないのは、むしろラテン系成り上がり男を表現するに有利だと思うので、思いっきり振り切ってエネルギッシュな敵役として、ゆりかちゃんやキキちゃんを喰うくらいの勢いでやってほしいです。
でさー、なんで今回はベネディクトの歌が新曲じゃないの!?しかも振り付けも花組版と一緒だし。新曲を期待していたのに、滅茶苦茶がっかりした。そこのマイナス査定は全体に響きますよ。
他の登場人物も、まだまだ浅い気がする。贔屓も含め、もっと彼らの人生が見えるはずだ。それぞれのJUMPに説得力があるといい。ライナスの心を動かすほどの、10人それぞれのJUMPが見えてくるといい。
単にわたしの視野が狭いから(今回は贔屓しか観てなかった)、感じ取れるところを悉く取りこぼしているだけである可能性が大きいけれど、個性の強いキャラクターが魅力の作品で、3度目の再演により観客のそれに対するイメージが固まっている作品だからこそ、それぞれの生徒が持つキャラクターを押し出して欲しいです。オリジナリティが欲しい。


ぶーぶー文句言っていますが、満足していない訳では無いのです!!
みんな凄く頑張っているし、何かを掴もうとしているのを感じられるので、後半にはもっともっと楽しい作品に進化するに決まってるんです!!これが宙組オーシャンズの完成形だとは思っていません。更に高く跳べるはずだ!everybody Jump!!


フィナーレは、初舞台ロケットが入ったのでトンチキHIPHOPがカットになりました。
今回は初日から観たので、105期生のはじめての客として、脚上げの1発目から手拍子を入れるのに命を掛けました(どやどや)やっぱり初日の口上は1番2番3番委員さんがやるもんだから、ハクハクしたところが一切なくて、わたしの知っている初舞台生口上よりもだいぶしっかりしていた。ロケットも、ポジティブなエネルギーがばんばん伝わってきて、never give up! We can do it!!の掛け声で泣いた。初めてタカラジェンヌとして舞台に立った喜びと、一生懸命さ、いっぱいいっぱいで視線が上に上がって来ない初々しさにも泣いた。思い入れのある期になりそうです。
娘役群舞の選曲が、宝塚らしいナンバーに変わっていたのが良かった。でも、この後待っている男役群舞のことが脳裏を過って、全然集中できなかった()今後はもう少し落ち着きたいです。
娘役群舞が終わり、男役が大階段にスタンバイした時、あっきーがずんちゃんと先頭で並んでいるのを理解した瞬間、うれしくってうれしくて、泣くわ興奮するわで、記憶がございません。”Fever!”と気怠げに発せられる度にずっと心の中で「アーッ!!アアーッ!?アアーッ!!」って叫んでた。もう誰にも伝わらなくてもいいや。事実だからな!格好良すぎて興奮しきって、その姿が嬉しくて嬉しくて、感情がカオスだった。初日から死んでしまうかと思った。あと100万回は観たい。
まかまどのデュエットダンスはわたしが望んでいたスゴツヨバチバチダンスではなかった…(´・_・`)この作品に夢夢しさやプリンスプリンセス感は求めていないんだわ。
男役群舞で魂を抜かれそうになっても、精神を保てたのは、花宮沙羅ちゃんのエトワールが待っていたからです。友達から速報をもらった時には、ガッツポーズをする程うれしかったんだもん!!初舞台生を従えての堂々たるエトワールに涙腺決壊しました。透き通った美しい声を力いっぱい響かせている姿に感動したの…。ひとつの夢を叶えた人の眩しさよ。贔屓の卒業でしんみりしそうな気持ちを、沙羅ちゃんの歌声が晴らしてくれました。

 


【平成最後の観劇】


突然のマスクJ、陰ツアーの観光客、ソールのインチキロシア人など、最近の宝塚作品を観てるとクスりと笑える小ネタが散りばめられているのがツボでした。期待値が高い故、辛口な初日感想としてまとまってしまいましたが、心には楽しくてハッピーな気持ちしかありません!
大好きな作品で贔屓が卒業してくれるしあわせを抱えて、あと3ヶ月のハッピーなファン生活を存分に楽しもうと思います!