すーぱーからしちゃんねる

からしがみたものをまとめたものです。

宙組東京宝塚劇場『シャーロック・ホームズ-A Game Is Afoot!-』

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【期待】

真風涼帆といえば、どちらかというと明智小五郎だろうと思っていました。ゆりかちゃんの明智で『黒蜥蜴』が観たいと思っていたので。
生田先生の趣味は性に合うみたいで気に入っているので、とても期待していました。新しく宙組トップ娘役に就任する潤花ちゃんとのお芝居での絡みも楽しみでした。
シャーロック・ホームズといえば、いろんな二次創作がされていて、どれが原作のエピソードなのかわからなくなっちゃっていたのですが「最後にモリアーティ教授と滝で殴り合いの闘いをする」というところだけ覚えていました。「それって天河じゃん」と思ったり。これまでの人生で一番親しんだホームズは、犬のホームズです。
珍しくムラに観に行かなかったので、『憂国のモリアーティ』を観たり、原作小説を読んだりしながら楽しみに初日を待ちました。

【所感】

キャラクター大集合!って感じだったけど、散らかったりしないで綺麗にまとまっていたのが気持ちよかったです。原作があって、しかもキャラクターがしっかりしている作品にありがちな、キャラクターを並べただけのレビューみたいな感じにならず、お話としてミステリーとして面白かった。
特に、終わり方がとても印象的でした。ちゃんとラブに着地していたのがすごい。これはタカラヅカ版オリジナルの展開だと思うのですが、余韻があって、観る人それぞれの想像力に任せた幕切れで、粋でおしゃれで華やかで、ワクワクさせてくれました。
鎖の謎解きは、最初見たときは台詞が頭に入ってこず「ただの生田先生の趣味」だと思ってたんだけど(失礼)ちゃんと暗号として機能していた!
それにしても生田先生はプログラムの文字が多すぎてたいへん面白い(田淵先生もだけど)
産業革命期のロンドンの重々しさが色彩に現れていてよかったです。それでも、オペラやジュビリーの場面では華やかに。宝塚らしさがあって良かった。
舞台転換が鮮やかでスピーディーなのは素晴らしかったけれど、2階席から観ると「見えてはいけない人たち」が丸見えなのが頂けなかった。宝塚の舞台はいつも裏方のスタッフが見えない、というのがデフォルトだと思っているので、ちょっと無理矢理で美しくないなと思った。
主題歌がとても格好良かったですね!モリアーティチームが歌った後に、ホームズチームが歌うのが(ポーロックはちゃっかりどっちでも歌っている)たっぷり聞けて耳に残るし、キャラクターの色を比較することが出来て楽しかったです。

【キャスト】

シャーロック・ホームズ/真風涼帆
ゆりかちゃんらしく、そして宝塚らしいホームズだった!明智役者だと思ってたけど、ホームズもぴったりだね。ちょっと滑稽で変わり者だけど、めちゃくちゃ頭が切れる。しかも戦える。ホームズがこんなに宝塚にマッチしたヒーローだったとは。
221Bの場面は、前作でも相棒役だったずんちゃんのワトスン君と繰り広げるアドリブ合戦が最高に面白く、ゆりかちゃんの宙組が充実しているのが感じられて楽しかったよ。活き活きしてたもんね、毎日(笑)「薬は無いのか?」という台詞に、原作のジャンキーなホームズを匂わせていたりして、生田先生の台詞はいつもおしゃれだなあと思うのでした。
変装したゆりかちゃんがとても楽しそうなのも、見ていてウキウキしたなあ。ヅカヲタは、変装しているトップさんを簡単に見つけてしまう(ライティングや動線、衣装、隠しきれていないスターオーラなど)けれど、それでも見ていて楽しかったです。外したマスクをまじまじと客席に見せてくれる演出もありがたく、オペラグラスでじっくり見ちゃった笑

アイリーン・アドラー/潤花
幕開きの第一声で心を奪われてしまった。雪組を詳しく観てこなかったので、潤花ちゃんがどんなお芝居をする娘役さんなのかを知らずにお披露目を迎えてしまったのですが、なんて深みのある声をお持ちなんだろう!ゆったりとした台詞回しは、ゆりかちゃんのお芝居との相性も良いし、「劇団はこれを見せたかったのね!」と大いに納得しました。
高身長の生徒が多い宙組でも、大輪の花のような輝きを放つ潤花ちゃんのことが、すっかり好きになってしまいました。お衣装の着こなしも、格好良さが垣間見えて素敵でした。ショーの潤花ちゃんもまた最高だったんだけど、それは別記事にて。
モリアーティとの関係性の見せ方、ホームズを交えての三角関係的なロマンス、この物語をタカラヅカ的にしていた潤花ちゃんのアイリーンでした。

ジェームズ・モリアーティ/芹香斗亜
キキちゃんの声のお芝居が光っていたと思います。まさに悪の華。第一声から「こいつはちょっとヤバい奴だ」と思わせてくれるような迫力と魅力がありました。キキちゃんがソロで歌い上げる時の迫力が好きなんですけれど、今作もそれが堪能できて幸せでした。
ゆりかちゃんとの緊張感のあるやりとりもとても好きで、「これだけのグルーズを大学のサラリーだけで?」という超絶失礼な問いかけに対する小さなリアクションとか本当に好きでした(細かい)

ジョン・H・ワトスン/桜木みなと
前作のヴラドに似たようなポジションで、ちょっと既視感があったのは否めませんでしたが、ずんちゃんの「らしさ」って、こういうところにあるのかなあと思いました。ゆりかホームズへの気持ちが堅いところがとても良い。お葬式でのワトスン君に、ホームズへの想いが見えてきて、「実はホームズが生きていると知ったら、どんなに驚くだろう」と思いました。きっとずんちゃんのワトスン君なら、飛び上がって驚く。
メアリーに対してデレデレなのがすごくイイ!カップルのラブラブな歌があるのがすごくイイ!

レストレード警部/和希そら
そらちゃんのこんなに骨太なお役って見たことなかった気がする!こういうお役を待ってた!前作が女役だっただけあって、今までとのギャップがたまりませんな。ちょっとイライラした感じを台詞や仕草に滲ませる、クサさが本当に良かった。マイクロフトをいきなりぶん殴っちゃう脳筋っぽさに納得できる役作りでした。あの場面、理不尽すぎて大好き(笑)
なんでも出来るそらちゃん、雪組に行っても大活躍間違いなし。楽しみにしています。

マイクロフト・ホームズ/凛城きら
頭が良すぎてちょっと空気が読めない感じが大好きでした。飄々とした純粋な感じも好きだったなあ。どうしてレストレードに殴られたのかわかってない感じも最高。それを全く気にしていない様子のホームズとの関係性も面白い。
れいか様のお芝居とノーブルな男役姿が大好きです。専科に行っても、いろんな組で活躍される新しい凛城きらを、見せてくれますように!

ハドスン夫人/遥羽らら
ハドスン夫人って、原作ではあまり書き込まれていないキャラクターなんだけど、愛されているし重要な登場人物よね。ららちゃんのハドスン夫人は、かわいさはもちろん、強さもあって、ちょっと格好良いところもあるハドスン夫人だったように思います。"The Game Is Afoot!"のららちゃん、格好良かったです。イレギュラーズ達に囲まれているららちゃんの、頼れるお姉さんって感じも素敵でした。
たくさんの作品でときめきを、愛らしい笑顔で元気を届けてくれたららちゃんは、この作品で卒業されました。新しい人生でも、あの砂糖菓子のような愛らしい笑顔で輝いていてほしいなと願っています。

フレッド・ポーロック/瑠風輝
我々オタクを狂わせたポーロック。ビジュアルも仕草も設定もメガネも全部が好きすぎて、オペラグラスで追い回していました。まず長髪にメガネ、長めのジャケットにルーズなシルエットのボトムス。ビジュアルが最高すぎるんよ。それに加えて、もえこちゃんの長い御御足。そして、すらりと綺麗な手指が妖艶に動きまくる。オタクホイホイ過ぎる。モリアーティ側に居るときは、メガネをかけてあまり喋らず、クネクネしているポーロックが、ホームズ側に戻ったときに、メガネを外して太い声で揚々と喋っている姿に釘付けでした。最高(語彙をなくす)メガネの演出は気が付いたとき、うれしくなっちゃいました。生田先生の指示だったのかな?そうだとしたら、あまりにも生田先生は我々のツボを把握しておられる。

メアリー・モースタン/天彩峰里
とにかく台詞が輝いていたじゅっちゃんのメアリー。『夢千鳥』での怪演を経て、ぐんっと成長された気がします。台詞で輝く娘役さんがとても好きなので、じゅっちゃんのメアリーも、とてもとても好きです。こんなに大事な台詞を、あえて娘役のじゅっちゃんに充てたところに、この作品の面白くて深い魅力があるんじゃないかと思います。

【性癖】

生田先生の趣味は結構好きなんです。そして、生田先生はエゴサするタイプの演出家だと思っているので、この作品の盛り上がりを、先生も知っていてくれたら嬉しいなあと思います。

シャーロッキアンと呼ばれる、シャーロック・ホームズのオタクの方々が、この公演を見てツイートされたり、ネットラジオで喋ったりされているのも拝見、拝聴して、この作品を深く楽しむことが出来ました。それぞれのオタクが、愛する作品や世界に愛を持って語り合う空間が、わたしは大好きです。