すーぱーからしちゃんねる

からしがみたものをまとめたものです。

宙組東京宝塚劇場『白鷺の城』

宙組の日本物】

ものすごく期待していたことについては初日の記事を読んでいただきたいです。期待を裏切られたところも書いておりますので。
でも、宙組の日本物、サイコーでした。
この不完全燃焼を抱きつつも素晴らしいと言える作品でした。もっと日本物レビューやって欲しいなあ…。宝塚の和物のショー、結構好きなんだよなあ。


ここに理想のまかまどコンビを見せてくれて、ありがとうという気持ち。
あなたを決して手放さぬと歌うゆりかちゃん(真風凉帆)の表情がめっちゃくちゃ切なくて切なくて泣けるし、戸惑いながら嬉しそうに舞うまどち(星風まどか)が切ないし、キュン死しそう。半音上げ下げ主題歌の真風節がたまらん。


どの時代に転生しても、時代に似合ったコーデで登場する妖狐まどちが、ファッショニスタすぎるのもツボる。岩に封印され、封印が解かれた直後も、姫コーデで登場する余裕。さすがトップ娘役。ラスボス感半端ない力強さ、幼顔に光る強さがたまらんでした。ゆりかちゃんが、狐の娘役さんたちに取り囲まれた時には『こいつは勝てねぇ』と思った(笑)特に、幕が上がって最前列で待ち構えてるえび様(綾瀬あきな)は絶対に倒せないし、なかなか攻略出来なくて『えび様 倒せない 白鷺の城』でググっちゃうやつ。


愛ちゃん(愛月ひかる)と松本悠里先生の『信太妻』もとてもとても好きだった。相手役さんのいるミエコ先生は初めて見た気がする。ソロの踊りよりも、見応えがあったな。宝塚っぽくて素敵だった。愛ちゃんはお着物の見せ方使い方がとても上手かった。専科に行っても頑張ってね。そして、いつの日か宙組に帰ってきて欲しいです。


わたしがずっと焦がれて見たい見たいと言っていた、あっきー(澄輝さやと)の日本物の姿を見せてくれて、どうもありがとうという気持ち。武人たちのさ、剣に付いた血を払うみたいな振りあるじゃん?あそこの澄輝さん、思いっ切り振るから、かなりの人数斬ったんだろうなと妄想してむふむふしてた。殺気立った色気が半端ない。妻と子どもを殺された公家にしか見えなかった。誰かに一族皆殺しにされたの?ってくらいに鬼気迫った眼をしていて、もはや妖術とか使えるんじゃないかってくらい。それとも、憑かれてる??
青天のあっきーをオペラで観ながら『三百両くらいで足りるかな』とか考えてたんですけど、何をどうしようと思っていたんだろうか当時のわたしは(笑)

 


【いろいろ足りていない】

個人的にはとても好きな作品で、『異人たちのルネサンス』にお金を払っているんじゃなくて、『白鷺の城』にお金払っているんだ!とか冗談でも言っちゃうくらいでした。それでも全てに大満足かと問われれば、足りないと感じるところもありました。

親世代、よりちょっと上の世代のヅカ友が、この作品を「論外」と評しており、その主張を聞いていると『そう思わなくもない』と感じてしまうのでした。
転生を繰り返して出会い続け、時には敵対し、時には憐れみをかけたり、同じ過ちを繰り返しながら、最後は結ばれるトップコンビの設定や関係に気がつく事が出来なければ、とんでもなく退屈に感じられるのは致し方ないと思うのです。というのも、彼女は『まどかちゃんが狐の妖怪だということがわからなかった』というのです。まどかちゃんが狐の影を見せるのもショボい演出だし、妖狐の姿を見せるのも一瞬。九尾の尾は、見切れの激しいスクリーンでの映像。その辺の不親切さはいただけませんでした。もうちょっと古典的にやっても良かったのでは。歌舞伎のような小気味好くくどいストップモーションがあってもよかったのに。
不親切さといえば、葛の葉と石の封印が解かれた玉藻ノ前の着物の柄が同じなのにも非常に混乱させられた。オタクなので、その辺の意味も考えがちじゃないですか。なので、最初のうちは、葛の葉と玉藻ノ前は同一人物なのかと誤解してしまい、混乱した。でも、わたしはオタクなので『玉藻ちゃんは葛の葉さまの力を借りて封印を解いたのかもしれない』とも考えられなくもない事に気がついて、まあオタクって便利な思考回路を持ってるんだなあと我ながら感心しました(笑)

 


【こっちをお芝居にして欲しかった】

オタク大喜びの設定と展開なので、こちらを芝居にして、もっと時間や舞台装置を使って欲しかった。『白鷺の城』はスターをほとんど使えていないレビューなので、お芝居になればもっと面白かったに違いないのです。だって、転生を繰り返すゆりかちゃんの周囲の人たちって、いつの時代も同じ顔のイケメンたちばかりなんだよ!?あの中に実はこの世のものならざる妖魔が混ざっているかも知れないんだよ!?ほんでさ、ゆりかちゃんを取り巻く人々も転生を繰り返して、またゆりかちゃんに出会ってる訳でしょ!?そこが!!得も言われぬエモさ!!で、ゆりかちゃん的には前世の記憶はうっすらとしか持っていないから『あれ?どこかで?』とか思いつつ殿に仕えたりしてるんでしょ!?なにそのオタクホイホイ設定!!そういう話、みんな好きでしょ!?ね!!??
後は、不親切に感じた場面や、あまり豪華とも言えない衣装(そもそもわたしは大野先生の、日本物の色彩が好きではないのであるからしてゴメン)をなんとかしてくれたら嬉しい。大野先生はプログラムで「なかなか企画が通らなかった」と愚痴っていたけれど、このようなオタク向けのお話は大歓迎なので頑張って欲しいです。でも、またショーを作るならもう少しセンスを磨いて欲しい(バッサリ)

 


【2018年観劇納め】

なんと千秋楽直前の当日券列が、ぜんぜん伸びていなかったので、ものすごく久し振りに当日B席で観劇いたしました。これが2018年の観劇納めとなりました。
2019年の観劇始めは、雪組さんの『ファントム』です。生で観るのは初めてなので、とっても楽しみ!