すーぱーからしちゃんねる

からしがみたものをまとめたものです。

宙組東京宝塚劇場『カジノ・ロワイヤル~我が名はボンド~』

【期待】
真風涼帆、潤花のさよなら公演ということ以外、あまり期待していませんでした。宙組公演は毎回ムラまで観に行っていましたが、ちょうどFFX歌舞伎と重なってしまい、スピラ通いで忙しかったので観に行きませんでした。Twitterからながれてくる評判を見ている限りは、あんまり良くなさそう?期待値は低めでした。原作映画は、観たことがあるかも知れないというレベルで記憶になく(でも007のテーマ曲は知っている)原作小説も未読です。わたしのなかには、うすぼんやりとしたジェームズ・ボンド像しかありません。わたしが『カジノ・ロワイヤル』向きではないのかも知れない。
ムラ楽をライビュで観ました。配信やライビュは、観劇としてノーカウントにしているので(映像では見える情報が少なすぎるから)ライビュの感想は割愛します。ただただ、サヨナラショーのすべてが懐かしくて、ゆりかちゃん(真風涼帆)との(一方的な)思い出がたくさん蘇ってきて、涙涙でありました。


【全体像】
お、おも?おもしろいのか・・・??これ1時間半で良くない??
あまりにも役者のキャラクターに頼り切りなので、びっくりしちゃった。セルフパロディが多いのにもびっくりしちゃった。イケコはプログラムで、エクスキューズを添えていますが、それってちょっと卑怯なのでは?それを言っちゃったらなんでもアリになっちゃうじゃん。
出会っていきなりキスしてくる男が、どう考えても格好良いと思えなくてしんどい。いや、ゆりかは格好良いんだ。でも、ボンドはキモいんだ・・・。しかも、最後までキスネタを引っ張るので、デルフィーヌは素敵なのにと、なんか辻褄の合わない気持ちになってしまう。
カジノのセットを見ると、どうしてもオーシャンズ11を思い出してしまうので、同じ組で同じ舞台は、もう少し時間を空けてやってほしいなと思いました。大金持ちになったイエンがカジノにいるようにしか見えない。あと、タカラヅカは、こういう場面で「外国人」に妙なイントネーションの日本語を話させるのを、いい加減辞めたらどうですか。
ルシッフルの地下組織は、毎度おなじみのキキちゃんシンジケートで面白かった。りっつ(若翔りつ)のソロもあるし。でも、表現がギリギリすぎて。タカラヅカはいい加減ナチス式敬礼を安易にやるのを辞めたらどうですか。ほんと、今回の海外配信でコテンパンに怒られた方が良いと思う。
パラシュートのゴンドラは、タカラヅカの愛嬌を感じて楽しかった。キャベツ畑も意味不明で笑える。
素直に面白かったとは言えないのが残念ですが、曲はどれもお洒落で、タカラヅカらしさもあって、ウキウキと耳に残るナンバーばかりで良かったです。イルカの歌なんかも、トンチキなんだけど、爽やかな展開で良かった。ルーレットの歌もお洒落。急にサヨナラモードになる君に会えて良かったの歌の歌い上げは、タカラヅカらしさがあってよかった。トップスターが最後に歌う歌として相応しい。
ゆりかちゃんのお衣装は全部格好良かった。着こなしも最高だった。不思議だったのは潤花ちゃんのお衣装で、ヒッピーは理解できるんだけど、ミニスカがよくわからなかった。思想的にミニスカートなのはわかるんだけど、分別のありそうなお嬢様のデルフィーヌが、冷戦時代のカジノのパーティ(のような場所)でミニスカートを履くのかな、という不思議。妹たちも丈の短いワンピを着ていたのが不思議だった。あと、純粋にロングドレスを美しく着こなす潤花ちゃんが見られなかったのが残念という気持ち。そういう意味で、お衣装の着こなしを見ていて楽しかった娘役は、春乃さくらちゃんでした。ドレスにパンツスーツにガンホルダー。素敵だったなあ!


【キャスト】
ジェームズ・ボンド/真風涼帆
カジロワはお話は?だけど、ジェームス・ボンドは、ゆりかちゃんの格好良さを全部引き出すのに相応しい男だったと思う。スーツの着こなし、たばこの扱い、拳銃の構え方、立つ、歩く、座る。すべての男役所作が格好良かった。ル・シッフルにゲームで負けて、金がねえって場面でも格好良いんだもんどうかしてる。一体、いくつ引き出しを持っているんだろうと思った。その引き出しの全部が磨かれていて、光っている。この芸を、宙組の男役が引き継いでほしいなと思いました。

デルフィーヌ/潤花
とても良いヒロインだと思うんです!お衣装では文句垂れましたけど、なかなかこんなに気持ちの良いヒロインいない。最後に、学校を作ろうと方向転換するデルフィーヌに、わたしは違和感を持たなかったな。若いんだし、「いいじゃんいろいろやってみれば」と気持ちよく彼女の再出発を応援できました。ボンドとも気持ちの良い別れ方で(キスはもういいだろと思わないこともないけど)良かったです。

ル・シッフル/芹香斗亜
どこかで見たことあるキキちゃんでしたが、トップになればこんな悪役ソングを朗々と歌い上げることもなくなると思うので、いいぞ思いっきりやってくれと思いながら見ました。ラスプーチンの仮装はかわいそうなくらい意味不明だったけど。ゆりかちゃんとの殺陣に迫力があって良かったな。天河の時から、まかキキの殺陣が好きだったので、最後にたっぷり見られて嬉しかったです。

ミシェル・バロー/桜木みなと
どこかで見たことあるずんちゃんでしたが、笑いを取る技術は流石なんだなあと、新公を見て思いました。甲冑の場面は毎回笑いを堪えてた。そして、歌い出すとものすごく巧いよね。劇場のムードが変わる。

ゲオルギー・ロマノヴィッチ・ロマノフ/寿つかさ
すっしぃさんの最後の男役。野望があって、でもどこか抜けていて、飄々としていて、憎めない男。ゴージャスなジャケットが良くお似合いでした。
フィナーレの群舞には、すっしぃさんも参加していて、「あの人格好良いな!」とオペラグラスをあげると、すっしぃさんがいる、ということが何度かありました。身体の見せ方、視線、リズムの取り方、すべてがセンス良く、ずば抜けていて格好良い。この芸も、宙男たちに引き継がれますように。

アナベル/天彩峰里
じゅっちゃん楽しそうだった。ずんちゃんとコメディ担当で、表情がくるくる変わって、見ていて飽きなかった。パープルの入った鬘もかわいいよね!ほんと、このお話はキャラクターは良いんだよね。みんな個性的で楽しいのに、どうしてこうなった・・・。

フェリックス・ライター/紫藤りゅう
おいしいところを全部持って行っちゃうのが、アメリカ人らしくもあり、しどりゅーの洒脱さでもあり、軽快でお洒落で良いキャラクターでした。金髪似合うよねえ。宙組に異動してからも、しどりゅーはしどりゅーの個性で勝負しているところがいいなと思っていました。ご卒業おめでとうございます。

ルネ・マティス/瑠風輝
わたしの一番のお気に入りの役がルネです!!なんてオイシイ役なんでしょう。スパイで、スタイルが良くて、公務員で、でも自分の給料には満足していなくて、恋人がいる。さーちゃんとの並びも素敵でした~~。この作品でもえこちゃんが好きになっちゃった人も多いのでは。大逆転裁判楽しみにしています!

イリヤ/鷹翔千空
出番は少なめだけど、めっちゃ格好良いところを押さえているこってぃ。ラスボスを仕留めるという見せ場まである。こってぃは、とにかくメイクと、銃を構えたときのジャケットの着こなしが格好良すぎた。みんなお手本にしてくれ。

グレゴリー/風色日向
お芝居の方では、キョロちゃん(亜音有星)とコンビ売りされていてあまり印象がないのですが、フィナーレがめちゃくちゃよかった。もえこと組んでいるのがとてもとても良かった。スタイルおばけ同士が組んでる・・・。ひなこちゃんは陽のキャラクターなのに、温度低めの色気があるのがたまらないですよね。

アナトリー/亜音有星
お芝居ではあまり印象がないのですが、プロローグのボンドの影ではとても目を引きました。パッと目が引き寄せられる。こういうのを華があるって言うのでしょうね。あと、赤が似合う。

ヴェスパー・リンド/春乃さくら
と~~~~っても美しくて格好良かった!わたし、さーちゃんの肩から肘にかけてのラインが美しくて大好きなんですけれど、それが堪能できるドレスをお召しになっていてハッピーだった。長手袋がとても綺麗。戦う娘役っていいよね!

ツバイシュタイン若翔りつ
りっつにソロがあると聞いてはいたけれど、こんなに大ナンバーだなんて思っていなくて、後半ちょっと泣いちゃった(泣くようなナンバーじゃない)芸があるひとには出番をしっかり与える宝塚でいてほしいです。

マネーペニー/花宮沙羅
お歌のソロがある!その上、キャラクターもしっかり立っていて、さらちゃん贔屓のわたしは大喜びでした。バイトもしていて、いろんな衣装が見られたのが嬉しかったです。フィナーレのお団子キャップが揺れるデザインで、後ろ姿から大きく背中を反らせたときに光って見えて綺麗でした。娘役として、キャリアをしっかり積んでいるのが、こういうところに垣間見れるのが、ファンとしては嬉しい限りです。


宙組が好き】
やっぱり宙組を見ると元気になりますね!
新しい宙組にも期待しています。
お茶会に入出など、かつての楽しい賑わいも戻ってきたことですし、これからの宝塚がますます盛り上がりますように。