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【初日】東京宝塚劇場『天は赤い河のほとり』『シトラスの風-Sunrise-』

カタルシスを得るには】


大劇場公演では、クリエイターの友人を誘って一緒に観てもらったんです。初宝塚だったそうですが、ムラの雰囲気と劇場の規模、わたしのマニアックな解説にふんふんと感心してくれて、自転車に乗って颯爽と街を駆け抜けるタカラジェンヌや、門の影で待ち合わせをしている男役さんに「美しい」「普通に生きてるだけなのに絵になる」「街全体が夢の世界」に大興奮してました。わたしは彼の感性をとても信頼していますし、わたしの足りないところ、及ばないところを察して、ヒントを与えてくれたりします。で、観劇後に抱いたモヤモヤした気持ちを全部ぶつけてみたんです。天河については『地下牢の場面が非常に良くできている。あそこを丁寧に観て芝居に入り込めれば、最後にはカタルシスを得られるはずだよ』と言われて。
で、東京の初日はとても観やすい2階センターの席だったので、とても集中して観ることが出来ました。いやあ、散々なこと言ったけれど『いい話だったなあ…ヒッタイトに平和が訪れたんだなあ…』と感動して泣けてしまった。
ショーについても、何かを大きく変更した訳ではないのにも関わらず、きちんとブラッシュアップさせてきたところに、スタッフさん達の良い仕事を感じました。初日はファンが観るもの。ましてやトップコンビのお披露目公演。お芝居やレビューを見るための基礎体力が備わった客席。期待感が詰まった空間には、最高潮に高まったバイブスで満たされていました。素晴らしい瞬間に立ち会えて、しあわせだったなあ。

 


天は赤い河のほとり


ムラから通算5回目にしてやっといろんなところがしっくりきた。心にストンと入ってきた。遅すぎる(笑)
ユーリの見せ方が変わったからか、いつユーリがカイルに惹かれてヒッタイトに心を寄せ始めたのかがわかりやすくなった(あくまで自分比)健気さや聡明さについて、丁寧に表現するようになったんだね。特に、カイルの唄を聴いている時のまどかちゃんのお芝居がとても繊細になっていて、ここでカイルに心惹かれたんだなっていうのがわかって、とても良かった。
デコピンの演出がなくなっていたのを惜しむ声があったけれど、わたしはこれで正解だと思っています。見方や角度によっては、ユーリに冗談半分に手を上げているようにみえるなあと思っていたので(確かに少女漫画的胸キュンポイントなんだけどね>< そういうのを知らない世代も観てるわけで><)
あと『マッティ兄貴いつの間に仲間になったんだ問題』は解決されていた。しかし、東宝は舞台が狭いので、盆の上をのしのし歩くマッティ兄貴が、あんまり格好良く見えない( ;∀;) あそこで迫力満点に歩く姿が大好きだったんだ。歌も格好いいし。最後のナキア・ウルヒ・ネフェルティティの三重奏には、マッティワザの姿が見えなくて良いと思っている派なんですが、子マッティとタトゥーキアはもう少しイチャイチャしていて欲しかったな。ただの仲良し姉弟にしか見えなくて物足りない。
それに対して『双子が可愛すぎて真ん中の芝居を見逃す問題』は、解決されないどころか、深刻化している。涼やか美人リュイの水音志保ちゃんと、全力芝居シャラの花宮沙羅ちゃんの仲良し度が上がっていて超かわいい!キックリになりたい。
ザナンザ→ユーリの矢印が色濃くなった印象。彼の死がカタルシスを呼んでいる一因になっていました。
そして、わたしが今回こそは丁寧に観ようと集中して挑んだクルヌギア。あそこでカイルの人柄がしっかり表現されており、きらびやかに見える王族たちの生活の裏にある不幸や暗い部分が見えてくる。その不幸や怨みをぶつけられて、逃げずに真摯に向き合って、膝をついて頭を下げるカイル皇子、めっちゃ出来た人じゃん…!!格好いいじゃん!!大きい男じゃん!!王様にふさわしい人じゃん!!って思った。で、そんな真面目で真摯な皇子様が、戦線の中肌身離さず身に付けていたハートのタブレットを、ユーリに渡してくれるんだよ!?なにそれめっちゃキュンキュンするやつーーーーー!!!!「今さら気が付いたの!?」って言われそうで恥ずかしいのですが、カイル皇子はほんと誠実で素敵な人ですね。あの差し出し方もいいんだよねえ、ちょっぴり不安そうで。『これでいいのだろうか、気持ちは伝わるだろうか』っていう迷いも見えて、キャーーーーーー!!萌える。次回の観劇が楽しみ過ぎる。そして、最後の戴冠式に向かう場面で、地下牢にいた人達が解放されて、兵士たちは家族や恋人と再会出来て、そういう場面を観れば『ヒッタイトに訪れた平和』を実感する。ユーリがタワナアンナになれてよかったねえ、カイルみたいな人格者が皇帝になって、ヒッタイトの国は安泰だねえ、と涙するのでした。
そして、ネフェルティティさまですが。ねえ、アイメイク変えた?変えたよね?(友だちみたいに言うなよ)ダブルラインの下にグリッター入ってたっけ?銀英伝のかなめ様みたいで素敵でした。伏し目の美しさったら国が救えそうなレベル。そして、ちょっとだけ柔和になった印象。その裏にある冷徹さ(直接手は下してなさそうだけど、何人も処してそう。ラムセスを鞭打ってそうだし、天日干しの刑に処してそう)は健在で、原作を知っている人ほどゾッとするような人物像に仕上がっている。強い女であろう、強く出ようとせず、ナチュラルにしたたかで、蛇のような女でした。だからこそ、最後にトトメスに放った台詞がよけいに切なく響くんですよねえ。しみじみ。

 


シトラスの風-Sunrise-】


大劇場と比べると、東宝は客席も舞台もとっても狭く感じますね。でも、東宝はわたしにとってのホームだし、オケも都会的で結構好きなんです。コンパクトであるから効いてくる楽曲やダンスもあるわけで。(天河での下村陽子先生の楽曲では、音楽と歌と振りのタイミングがカッチリ合うようになっていました。モタつかず主題歌のブレイクが保てているところがカッコよかったです)アレンジもクラシカルな雰囲気より、現代的でポップな雰囲気が前に出てくるのが、東宝の演奏の好きなところです。
オケ的なところから語らせて頂きますと、もうまじで勘弁してくれと思っていたボレロ水戸黄門(ビブラスラップ)がかなりマシになっており、わたしの腹筋が守られました。謎の金属音もクリアな鐘の音?になっていて、新たな時代に向けて響く鐘の音みたいな感じになっていた。やれば出来るんじゃん(何様)アマポーラの後半、ラテン感がupしてたのも嬉しいです。これならノれる。銀橋が明るいのもいいですね!贔屓の立ち位置が暗くない!ただちょっと、そりゃないぜ〜と思ったのが、プロローグのドラムスなんですけど、初演と違ったニュアンスでハットを刻んでいたので、そこは忠実に再現して欲しかったなあ、というマニアックすぎる感想。
全体を通して、素晴らしい熱量だった…!!明日エナでは、迫り来るエナジーに圧倒されて泣いてしまった。場面終わりにはちょっとしたショーストップに。あの場面に出ている人全員が袖に吸い込まれて行くまで拍手していたかった、みんなそんな気持ちだったんだと思う。やっぱり初日っていいねえ。観劇できて良かったです。おめでとう!の拍手があたたかかった。
舞台からは『嬉しい!しあわせ!見てください!』というエナジーがビシバシ放たれてて、客席からも『おめでとう!たのしい!待ってました!』のエナジーが溢れてて、劇場の空間がパワースポットだったよ。胃腸炎で瀕死だったけれど、観劇中はお腹痛くなかったもん(笑)

 


【体力勝負!!】


真風さんが『寒暖差が激しいので体調管理に気をつけて。舞台はやるのも観るのにも体力が必要。今日は早く帰って、質の良い睡眠を取ってください』(←ニュアンスです)と至極真っ当な事をカテコで仰ったので、睡眠をたっぷり摂って、1ヶ月とちょっとを楽しもうと思います。少しずつ元気になってきたし、暑さに負けずにがんばるぞー!出ないけどー!!

 


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