すーぱーからしちゃんねる

からしがみたものをまとめたものです。

星組東京宝塚劇場『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~/JAGUAR BEAT』

【期待】

星組のありちゃん様(暁千星)を初めて見るんですよ!!ということで、星組の全ツのチケットに恵まれなかったわたしは、観劇の日をとてもとてもとても楽しみにしていました。加えて、最近宝塚は、スカイステージを見る時間が取れなくて、Twitterの文字での情報以外を一切持ち込まずに劇場に繰り出すスタイルを取っています。お正月のBSの特番も見ませんでした。こうやってワクワクを高めるのも悪くないね!
ジョージアの歴史や文化に明るくなかったので心配だったのと、お友だちから「すぐ読めちゃうよ」と聞いて、原作の『斜陽の国のルスダン』は読みました。馴染みのない名前が列挙されているので、どれが誰だかわからなくなって、付箋紙に配役を書いた物を挟みながら読んだのが楽しかったです。感想は『ジョージアって、モンゴルが攻めてくるような場所にあるんだ(おい)』『この奴隷の間男は極美くんか。この場面は宝塚的にオイシイよね(げす)』です。まだ見ぬ生徒達の熱演を想像して当てはめて読むのは楽しい。
ジャガビーは、初日のTLのレポの熱量に、俄然期待値は高まりました。『BLUE MOON BLUE』の再来とか、電飾がヤバすぎてクラクラするとか、わけがわからんけど楽しいとか。ショーに狂わされたオタク達の悲鳴ほど、期待を煽る物はありませんね!サイトー先生は、お芝居は価値観をアプデしないつもりなら、もう永遠に作らないで欲しいけど、音楽や照明のセンスは好きなので、ショー作家としては信頼しています。事前の情報でTHE YELLOW MONKEYの『ROCK STAR』をこっちゃん(礼真琴)が歌うと聞いていたので、それもとても楽しみにしていました。

【ディミトリ~曙光に散る、紫の花~】

面白かった・・・!原作ではルスダンが主人公だったけれど、ディミトリが主人公になることによって、ルスダンの書き込みが薄くなったら嫌だなあと思っていたのですが、そんなのは杞憂で、というか、ふたりの現代の理想の夫婦像が眩しすぎて最高でした。ルスダンが姫姫しないで、自分の足でしっかりと立って、隣に愛する夫がいて、お互いを支え合って、国を治め歩んでいこうとする姿がとても現代的に感じられたのです。アヴァクに「あいつ怪しいで」と言われても相手にしないルスダンも、ディミトリが密通している現場を見て嘆くルスダンも、中に強い芯のある女性で好きです。
この物語の中心はやっぱりルスダンなんですよね。でも、しっかりとディミトリを主人公として見せられるのは、さすがのトップスター様です。こっちゃんの、濃い芝居の中にもあたたかさがあるのが、任が出ていて好きです。
歌が良いのはもちろんのこと。歌えて踊れて芝居の勘が良い人は、どうしても技術でお客さんを魅せるスターになりがちだけど、こっちゃんはこのあったかさあるから、そうはならずにいて特に良い。それを感じたのが、ルスダンが息子に会って欲しいと引き合わせたときに、ディミトリがすんなりと「私の息子」と受け容れる芝居が、とても純粋だなあと思ったんですよ。「本当に自分の子なのか?」とか絶対に言わなさそうなディミトリの優しさとあたたかさ。こんなこと考えてるわたしの心が一番汚れてるんだけど、だって歌舞伎だったら「本当に俺の子なのか?」って言うもん(笑)
アヴァクは最後のもどりがちょっとクサいな~と思いましたが、ありちゃん様は格好良かったです!突然『1789』みたいなイントロで歌い出すところはちょっと面白かった。
せお(瀬央ゆりあ)のジャラルッディーンは、芝居の引き締め力がすごい!やっぱり白目が利くねえ。銀橋での睨みが王者の覇気。
あかさん(綺城ひか理)のギオルギも、ジャラルッディーンに負けない王様感でとても良かった。主人公が慕い憧れる男として存在感があった。この作品、王様が3人出てくるけれど、三者三様で個性があって、しかもみんな強そうなのが良い。あと、くらっち(有沙瞳)との歌がめちゃくちゃよかった。後半での使われ方も良かった・・・。
くらっちのバテシバは、ふっくらとさせたデコルテばかり見てしまって申し訳ない・・・。美しかったです。原作では、ルスダンのバシテバへの嫌い方がちょっと潔癖というか幼稚に感じられたのだけど、宝塚の娘役同士でやると、それがマイルドというか、もう少し深いニュアンスになるのが良かったです。
ぴーすけ(天華えま)のお芝居も凄く良かった。特に、台詞がない場面の視線でのお芝居に、愛月ひかるから継承した男役芸を見ることが出来て感激しました。この、場面を貰っていないときの存在感がね、芝居を濃く深くするのよ!
極美慎くんのミヘイルは、原作では5ページくらいで殺されちゃうんだけど、しっかり役が大きくなっていて良かったです!もうね、間男としての説得力が半端ない(間男としての説得力って何ですか)例のシーンはもっとえっちに作ってくるかと思ったのですが、意外にもあっさりしていました。あそこをえっちに作っちゃうと、ルスダンが嫌な女になっちゃうから、仕方ないですね(何が)
宝塚作品に出てくる伝書鳩って、大体失敗するのがセオリーだったと思いますが、今回のハトは見事密告を成功させるしごできハトちゃんです。なにせ、リュックを背負っていますからね!リュックですよ!!しかも、このリュック、開くんです!こっちゃんが手紙をそこにしまうんです!
脚に結びつけるとかじゃないんです。リュックに入れて、運ばせるんです。そりゃ、ぴーすけも、あんなリュックを背負ったハトなんか見たら、怪しむよね。そこそこ大事な場面なのに、ハトちゃんが気になりすぎて、そこばかり見てしまった。お友達も一緒だった。ハトの話でビール一杯飲んだ。
面白かったし、きゅんとしたし、最後は涙したし、全体的に大満足なんですけれど、ひとつだけ、不満があります。それは、装置を動かすスタッフさんが丸見えになってしまう場面があるところ。生田先生は、ホームズあたりから、スタッフの見切れを諦めるようになったのでしょうか(ホームズは見切れどころではなく、2階席から見たら丸見えだった)宝塚歌劇に黒衣の文化はなかったはずです。それに、黒衣の動きや所作は、もっと洗練されています。スタッフは極力表舞台から見えない、徹底的に構築された世界観の美しさに宝塚の魅力を感じているし、生田先生の作品は好きだし期待しているので、これは本当になんとか考え直して欲しいと思っています。

JAGUAR BEAT】

正気を失うでしょ!こんなの!!みんなが狂っている理由がよくわかった。光と色彩と音の洪水と驚きの連続!まさにわたしが宝塚レビューに求めている物のすべてがそこにあった。洪水に巻き込まれて圧倒されているうちに全部終わった。設定もストーリーもぜんぜんわからなかった。でも、最高だった。コロナ以後に見たショーの中でベストの作品かも知れない!
導入の映像もこれからはじまる物凄いショーを予感させて、違和感や気恥ずかしさを感じさせなかった。吉正の映像って、オタク臭が強すぎてちょっとおダサく感じちゃうんだけど、今回はそうは感じなかった。今回が特別って事もなかったと思う。何か魔法でも使いましたか?
星組生の、濃いめのメイクも衣装と派手派手な照明にマッチしていたと思います。星娘は、表情がハッキリしていてみんなかわいい。もしかして、他の組でジャガビーをやっても、ここまでの話題作にはならなかったのでは!?
まず主題歌が優勝してるよね。キャッチーで耳に残る。ゴリゴリのロックを想像していたけど、意外と昭和アイドル曲の雰囲気も合って、その外し技が宝塚らしくて好き。主題歌のアクセントに合わせて舞台全体の照明がチカチカするのも景気が良くて好き。客席を釣りまくれる振り付けも好き。総じて好き。
楽しみにしていた、こっちゃんのROCK STARすごく良かった。ジャガーが歌詞に入らない曲なのに、どうしてこの曲を採用したのかな?格好良いからなのかな?と思っていましたが、収録アルバムのタイトルが『jaguar bard pain 1944-1994』という名で、ここにジャガーが入っていました。ちなみに、『タカラヅカ・ドリームキングダム』で貴城けいさんがワンフレーズ歌っていた『街の灯』もこのアルバム収録です。このアルバムは吉正にとって青春なんだろうな~。この曲でロケットの脚上げをさせるセンスが好きです!原曲ではこっちゃんの歌の後に『死んだら新聞に載るようなロックスターに』と続きます。しかし、声を掛けてきた人にいきなりビンタ喰らわすクリスタちゃん、ちょっとひどくない(笑)
翼を奪われて弱っていたひっとんが、超絶元気娘になっていて混乱する場面。見所が多すぎて混乱しているうちに、せおは景気がいいなあ、きわみ君は綺麗だなあと思っているうちに、ありちゃん様がぴーすけを連れて鞭でおしばきになっれていて、呼吸が整わないうちにダッシュを強要されたような気分になりました(最高)
ありちゃん様の鞭さばきよりなにより、わたしにとってツボだったのは「鞭だぞ!!!!」みたいなドヤ顔です。最近のありちゃん様は歌にも色気が滲み出ていて大変マーベラスでごちそうさまです。
あと、娘役さんのストイックの塊みたいな、健全な色気とプライドを感じられるようなヒップラインの美しさ。前方席で釘付けになってしまった。
ここの詩ちづるちゃんがかわいかったんだけど、場面としてはわけがわからなかった。
ずっと走りっぱなしのショーじゃなくて、トップスターがたっぷりと聴かせる場面があるのがいいよね。こういう感じで、こっちゃんのソロダンスも見たいです。はだしで、クラシック曲で。
この中詰めがヤバいオブザイヤー2022の優勝中詰めだと思っています。だって、『NO リアル!YES ファンタジー!』ですよ。こんなに堂々と現実逃避させられたの初めて。観劇しすぎてお金がないときとか、クレジットカードの請求書を見たときとか、体重計に乗ってびっくりした時なんかに叫びたい。真面目に話すと、スターがたくさん銀橋を渡るのが良いですね。右から左からの忙しさ賑やかさがたまりません。
途中でゴレンジャーみたいなのが出てきて、何かを丸めて投げるじゃん。そして、何かが割れるじゃん。あれって何なの?特にわかりたいとも思わず楽しんじゃってるから、調べず考えずそのままにしている。そのまま中詰めその2に移行するし、そもそも考える時間も隙も無いショーなんだよジャガビーは。『ジャガー the ファンタジー』って何なの(笑)
謎の三人組は、ひとつのショーにつき一組までだと思ってたのに、次々出てきちゃうのも、このショーの面白いところです。『まだいるんかい!』と何度も心の中で突っ込んだのは、わたしだけじゃないって知ってる。
あかさんの元気なリプライズいいよね!上手の花道で羽根をくるっと回すのが、器用さに溢れていて格好良かったです。花組でも輝いて欲しい!
ありきわの場面、最初はくらっちばかり見ていて見落としたんですよ(大失敗)こういう情報量の多いショーは、予習が足りていないとこういう失敗を生んでしまう。劇団は新たな組み合わせを生んだなと思いました。1日も早く、ありきわの別箱公演が望まれます。
こっちゃんが持っている花束のデザインが凝り過ぎていて、お友だちはこれを翼だと気が付かずに混乱したそうですが、わかっていても混乱しました。せおは何者なんだ。ずっと追っていたのか。しかし、ここのギターソロには痺れましたね!!宝塚は基本的にスターを前に出すためのオケなんですけど、久しぶりにガンガン前に出てくるギターソロを聴いた気がします。こっちゃんがギターに負けないからなんですよね。
そして、デュエットダンス。このイントロはエトワール??「もう終わり!?はやくない!?」と思いきや、下手からせり上がってくる極美慎。このだまし討ちのような小技が面白い。マンネリ化しがちなショーの構成を再構築してきたのも、ジャガビーの面白さだよね。ジャガー横田さんの『愛のジャガー』を、耳がほんのり覚えていたのが面白かったです。女子プロ世代じゃないのにうっすら知ってた。
せおは本当に景気が良い(何回言うんだよ)大階段で歌うせおを見て「持ち株が爆上がりしそう」と思いました。株なんて持ってないけど。
ここからのギターもめちゃくちゃ鳴いてて格好良い!これに負けない星組のパッションがまじで熱いのなんの。遥斗勇帆くんのソロも良かった。
ひっとんのソロで、グルーヴ感たっぷりに踊ることせおありの格好良さよ!!特に、礼真琴は暁千星という戦友を得て、自分の才能を惜しみなく爆発させることが出来るようになったように思う。今までどこか控えているような、セーヴさせているような印象があったから。ここの電飾と照明、自棄を起こしたのかと思うくらいに狂ってていいよね(笑)ポリゴンショック起こすかと思ったもん。

【青いものはいくつ持っていても良い】

終演後に、興奮冷めやまぬまま拍手が起こるのが楽しかったです。まだ舞台上に残っているであろうスタッフさん達に拍手が届くと良いなと思っています。慣例化するなら、意味のあるものにしてほしいな。
ありちゃん様が星組に組替えになったことにより、星組の観劇回数が増えそうです。なので、青いコートを誂えました。青いものはいくつあっても良いですからね。星モチーフのものも。星担になりたい。ではそろそろ、ありちゃん様のフォトブック開封の儀を執り行いましょうかね(まだ開けてない)