すーぱーからしちゃんねる

からしがみたものをまとめたものです。

東京芸術劇場『ねじまき島クロニクル』


【期待】
『せっかくの長期休暇なんだし、普段は見に行かないようなやつを観よう』の第2弾。
10代の頃はハルキストだったので、『ねじまき島クロニクル』も読んでいるはずです。しかし、まったく思い出せない・・・。『羊をめぐる冒険』とごっちゃになる。
東京芸術劇場は、家から近いのに、プレイハウスに座ったことがなかったので、この機会にぜひ行ってみたいと思った。音くり寿ちゃんも見たかった。
観劇の前々日に、主演のアフタートークでの失言のニュースが飛び込んできて「気持ち悪。見に行くのやめようかな」と思いましたが、彼のまわりにはちゃんと叱ってくれる人がいるようでしたので、見に行くことにしました。


【全体像】
アレルギーを起こすくらいに村上春樹の世界だ。その点ではハルキストにとっては、素晴らしい作品だろうな。プールの場面は、小説の質感そのものだった。どういう話だったかは上手く説明できないんだけれど、観る前と観た後では感覚が違うので、何かしらを理解して、何かしらを得たということにしておきます。村上春樹の小説を読んだ後って、こんなこと言いたくなるよね(口調がうつるんだよね)村上春樹のつかみ所のない世界観を、よく立体に書き起こしたなあと感心する一方で、わたしの周りのお席から、寝息やいびきがよく聞こえてくるのは、演出の問題だと思いました。伝わらなかったら、いくら素晴らしい作品でも、意味がないじゃん。わたしは絵的には十分に面白いと思いました。
意外にもコンテンポラリーダンスを楽しむことが出来たので、そろそろバレエデビューしてもいいかもしれないなと思った。
印象に残っているのが、クレタがノボルに「汚される」場面。ストレートに言うと、性暴力の場面です。嫌悪感を抱きながら、苦しい気持ちで観るんだろうなと思って、覚悟していたのですが、ノボル役の首藤康之クレタ役の音くり寿の身体表現の迫力が凄すぎて、嫌悪感や恐怖を抱く前に圧倒されてしまった。村上春樹を読まなくなったのは、セックスがどんなものか、性暴力とはどういうものかがわかってきたからだと思っています。この場面に圧倒されつつも、「ああやっぱりあんまり村上春樹好きじゃないな」と思いました。
かわいい場面もありました。ヘラジカも可愛かった。
松岡広大くんは、NARUTO初演以来なのでなんと約8年ぶり。相変わらず膝と股関節が強いなと思ったよ。シナモンの紙と言葉の場面は、とてもあたたかかった。
門脇麦ちゃんのメイは、お歌がとってもかわいかった~!今も頭の中を流れているよ。


【覚え書き】
アフタートークは、特に役者のファンでなければ、聞く必要はないのかなと思いました。余韻がなくなる。役者の素の姿を、地続きの舞台で見させられるのは(それを望んでいない層にとっては)興ざめになるのかも知れない。チケットやグッズを売るための営業トークも。勉強になりました。