すーぱーからしちゃんねる

からしがみたものをまとめたものです。

赤坂ACTシアター『ハリー・ポッターと呪いの子』

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【期待】
『せっかくの長期休暇なんだし、普段は見に行かないようなやつを観よう』と、思いついたのが『ハリー・ポッター』でした。何か大きなきっかけがなくては、手が出ない作品です。だってチケット代が高いんだもん!!!!一番安い席で諭吉越えしてくるんだもん!!!!
ポッタリアンの友だちが大絶賛していたので、面白いんだろうなとは思っていました。そうでない友だちも絶賛していたので、よくできているお話なんだろうなとも思いました。
キャストには特に拘りなく、行ける日をテキトーに選んでみました。
ハリー・ポッター』シリーズは、原作を途中まで読んでいて、映画を途中まで観ています。どこまで読んだか観たかも忘れている・・・。なんか、だんだんハリーが成長していって、思春期独特のヒリヒリした雰囲気が出てきてから、ついて行けなくなった気がする。


【シナリオ】
もっと、魔法なんかの演出がメインで、ケレン味がフューチャーされた作品だと思っていたのですが、意外にも芝居パートがたっぷりあって、とても面白かったです。海外の作品って、ミュージカルなら歌とダンスに引っ張られてお芝居が疎かになるし、スペクタクルがフューチャーされる作品なら、お芝居はオマケ程度になるような、変な先入観があったのです。さすが、原作者が書いた本なだけある。ものすごく骨太な、親子と愛と、友情の物語でした。そのあたりにJ.K.ローリング節をとても感じました。別に、日本版だから日本人向けに潤色されている訳でもないんですよね?
あらすじをチェックしたときに「父親になって、子どもとの接し方に悩んでいるハリー(藤木直人)なんて、妙に生々しくて見たくないな」と思いましたが、逆にそのリアルさが良かったです。両親を知らない、でもその愛を知っている。でも、父親としてどうしたらいいかわからなくて、失敗を繰り返し、成長していくハリー。ドラコ(内田朝陽)がまたいいこと言うんだよね。「世界で一番難しい仕事は子育てだと言われるが、自分が大人になることの方が遥かに難しい」的なことを言うの。ここで、ドラコはハリーよりも父親として一歩先を歩いているなと思うところも、いい。こういうのが沁みる年齢になっちゃったんだな~~(笑)わたしは誰かの親でもないし、なる予定もないですが、親になりたかったことはあるので、ハリーが最後、アルバス(福山康平)と向き合って、怖いものを話す場面なんかめっちゃ泣いてしまった。
アルバスとスコーピウス(西野遼)のふたりも良かったです。なぜだか修学旅行と思わしき高校生集団に囲まれての観劇だったのですが、ふたりの「失敗ばかりでもいいじゃん!」という姿勢は、ティーンの心に響いていればいいなと思いました。もうちょっと感性が若かったら、ここの関係性に萌えていたんだと思うけど、わたしはもう大人になってしまった(笑)
ハーマイオニー笹本玲奈)はとても聡明で大活躍していて、格好良かった。ロン(石垣佑磨)とのラブラブっぷりにもニコニコしちゃった。「ドラコにどんなことを言われても、私は自分で抗議します!!」っていうところがめっちゃよかったな。
マクゴナガル先生(香寿たつき)って長生きじゃない?まだ現役で先生やってるの?魔法使いはマグルより寿命が長いんだっけ??たーたんのやさしい雰囲気が、宝塚時代そのまんまでよかった。
スネイプ先生(間宮啓行)が出てくるサービス精神も良かったな~。スコーピウスがスネイプ先生から勇気をもらうのも良かった。
「ヴォルデモー」って誰?「ヴォルデモート」の弟子??と思っていたら、「ヴォルデモート」のことだった。序盤混乱してしまった。フランス語が語源だから、正しくは"tを発音しないんだって。いつから変わったんだ。
デルフィー(宝意紗友莉)は、いかにもイギリスの女の子のヴィランって感じで良かった~!!わたしが12歳なら絶対に憧れてしまう設定とヴィジュアル!でも、せっかく父と娘の設定があるなら、それを生かしてもうひとドラマ見たかったかもしれない。
シナリオ的な言及というか、これはもう役者が素晴らしいんだけど、嘆きのマートル(橋本菜摘)が映画そのまんまでびっっっっくりした!


【演出】
「魔法が凄いんだろうな~~」と期待していましたが、思ってたより遥かに凄かった。これから観る人もいるでしょうから、ネタバレはしないように気をつけますが、ファイヤー!光線!人が飛んでいく!変身する!暖炉の瞬間移動!人を飲み込む本棚!ディメンター怖すぎ!とか、いろいろ、いろいろ。あれくらいの水が出てきた程度では驚かない歌舞伎オタクですが、ディメンターの宙乗りは怖すぎて「中村屋のお岩さんじゃん!!」って思った。本当に襲われるかと思った。怖かった。
チケット代が高い理由がわかったよ。これはものすごい数の人手が必要な舞台。闇の向こう側に、たくさんの人がいるんだろうなって思った。


【赤坂】
赤坂ACTには久しぶりに行きましたが、駅を降りた瞬間からハリー・ポッターのテーマが流れていて、それはそれは楽しい場所になっていました。でもさ、ACTはいい劇場だからさ、他の演劇にも貸してやってくれよ(笑)
お芝居が深い作品だって事がわかったので、違うキャストでも見てみたいなと思いました。ああ、ちぎちゃん(早霧せいな)のハーマイオニーも見たかったなあ~~。