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花組東京宝塚劇場『アウグストゥス/Cool Beast!!』

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【期待】

田淵先生への期待は、『異人たちのルネサンス』を思い出すと、低く見積もることしか出来ませんでした。
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その節はくそみそに言ってごめん。シナリオはほとんど期待せずに観に行ってしまった。予習をせずに観に行って、すごく詰まらなかったらどうしようとも思った。ちょっと斜に構えてた。
華ちゃん(華優希)、あきら君(瀬戸かずや)の退団公演だってことには、さみしいけれど期待していました。そして、れいちゃん(柚香光)の初めてのオリジナルショー!『はいからさんが通る』では、ガツガツ踊る姿が見られなかったので、満を持して!という期待がありました。

アウグストゥス~尊厳ある者~】

ローマの風は吹いていなかったと思う。ただ、ドラマの中心がどうしてもトップコンビにあるとは思えなかった。ロマンスとしてはオクタヴィウスとポンペイアよりも、アントニウスクレオパトラの方が盛り上がっているように感じられた。これは、わたしの萌えのピントがズレちゃっただけなのかも知れないですが。オクタヴィアの存在もあって、どうしてもそっちにドラマがあるように見えちゃった。主人公はオクタヴィウス、ということにはなんとか納得できるのだけど、なんかポンペイアはヒロインとしてもうひとつふたつ、ラブい見せ場があってもいいのになあ。勿体ない。田淵先生はヒロインをしあわせにする気ゼロだよね。薄幸の美女に萌えるのか。でも『王妃の館』みたいなハッピーさも、宝塚歌劇には求められていると思うよ・・・。
それでも、お話の展開は面白かったです。純粋に「どうなるんだろう」って思いながら見た。
カエサルカエサル歌われると『暁のローマ』を思い出しちゃうし、アントニウスクレオパトラの結婚式には「ラダメスとアムネリスが結婚した」って思っちゃう『王家に捧ぐ歌』脳だったけれど(笑)
どうしてオクタヴィウスを主人公にしたんだろう?とは思いました。アントニウスが主人公の方が面白かったんじゃないの?とも思いました。それだけ、役に対するドラマの比重が偏っている気がしたので。トップスターにはアポロン的な役を、ということなのでしょうか。主人公としての物足りなさの理由には、演出が微妙だったように思うのです。トップスターの最初の登場って、すごく大事だと思うんですけれど、花道から歩いて(しかも出囃子もなく)登場しちゃうのにはびっくりした。しかも二度も。せめて振り返る。又はせり上がってきてくれ~~~。歌劇の世界観がスケールダウンするので、勘弁してほしかったな。オクタヴィウスのアントニウスへの感情には萌えたよ。れいちゃんは受け身な役で真ん中に立つという難題に対して健闘していたと思う。お話が美形の主人公に頼り切りだったもん。あきら君のアントニウスとの殺陣は迫力があったよ。葛藤も見えて、見応えがありました。格好良かった。
ポンペイアが最後どうなるのかを気にしながら物語の展開を見守っていたので、最後のオチには納得したけど、ちょっとわたしには暗すぎた。華ちゃんの卒業仕様になっていたのは良かった。どの衣装も綺麗だった。トレンド感のある髪型も、時代に合っていて素敵だったな。
アントニウスが魅力的に見えたのは、あきら君の厚みがある迫力の芝居があったからだと思う。ローマに攻め入る場面のあきら君は本当に大きくて強そうで。クレオパトラの心の隙に入り込んでいくあざとさも、オクタヴィアをあっさりと捨ててしまう強かさも魅力的だった。卒業の作品で奥行きのある役を魅せてもらえるなんて、しあわせだ。
ブルートゥスはひとこちゃん。ひとこちゃんもインパクトがあった。野心に燃えて、嫉妬に燃えて、黒い感情を力強い声と歌に乗せているひとこちゃんが、わたしにとっては新鮮で、見応えがありました。『はいからさん~』ではちょっと物足りないな~~と思っていたので。チーム・ブルートゥス(?)も好きなメンバーが揃っていて眼福でした。飛龍つかさくん、帆純まひろくん、希波らいとくん。
マイティーは主人公のお友達枠でアグリッパ。あるあるなポジションで、上手いんだけど、印象は薄かった・・・。ごめん。マイティーが好きだし期待も高いから物足りなかったのかも。『銀ちゃんの恋』楽しみです。
音くり寿様(様)の超絶可憐なお姫様芸が炸裂して、作品の宝塚らしさを見たように思うよ。素晴らしい2番手娘役っぷり。音くり様のお衣装も素敵だったな。納得の有村淳先生。娘役の衣装が素敵だと、それだけで満足度が爆上がりします。
クレオパトラのかちゃ(凪七瑠海)は、想像以上に湿っぽくて、それがなんともイイ女役でした。強いだけじゃないのがいい。あきら君との並びもいい。脚が綺麗。見覚えのある衣装(笑)もいっぱい見れた。
今作で卒業の冴月瑠那くんが女役なのには驚いた。ショーでは超絶格好良い男役姿が見られたので二度美味しいということか。
なんだかんだ文句は言っても、面白かったです。


【Cool Beast!!】

久しぶりのオケに感動しました。見えないけれどオケがいるんだよ!(オーケストラピットの上に黒いカバーが掛かっている。おそらく飛沫防止のため)姿は見えなくても、耳が見ていますから!やっぱり宝塚のショーには生オケですよ。独特の華がある唯一のオケだと思います。復活してくれて良かった。塩田先生のカウントも聞こえて、本当に嬉しかったよ。おかえりなさい。
わかりやすく大介ショーでした。既視感にまみれているっていう訳ではなくて、「そうそう、これこれ~~」っていう安定感です。そして、「待ってました!れいはなの新作ショー!」っていう期待。
プロローグは安定の白い人たちと何かの神様(そうなの?)娘役さん達の強気のハイレグと美脚の嵐に痺れたよ。そんな娘役さん達に囲まれても一切負けないあきら君の強さ男クサさ。中でも華雅りりかちゃんの目力と身のこなしの美しさに惚れ惚れしたよ。
B席での観劇だったので、2階席まで届く瀬戸のアニキの熱い視線を楽しみにしてたのですが、プロローグから指さしウインクがバチコンと飛んできて、思わずオペラを投げちまうかと思いました(投げちゃダメ)
宝塚としては当たり前なんだけど、このご時世に全力で歌って踊っている舞台を目の当たりにすると、新鮮に驚くし感動するよね。銀橋の歌い繋ぎもスピード感があって楽しかった。
裸足で踊るれいちゃんも、見たかったものを見せてくれてありがとうだったな。ピアノも情感たっぷりで。美穂圭子さまのソプラノも。その後の音くり様も素晴らしかった~~。耳がしあわせだった。
結婚式の楽しい場面は、歌詞も面白かった気がする。
お肉を巡る戦いの場面は、主題がコメディなのに、全く余裕のない場面で目がいくつあっても足りないのであと5万回は見たい。色気対決ってなんなの。男なんてララララ。それでもれいちゃんとマイティーのダンスバトルである。こういうのが見たかった~~!!(2回目)和海しょう様、ひとこちゃん、まひろくん、聖乃あすかくん、らいとくん、つかさくんにヒィヒィしました。好きなタイプがバレてしまう(笑)娘役さんまでチェックする余裕がなかったので、やっぱりあと5万回は見たい。でかい肉のことも、もうちょっとちゃんと見たい。
中詰めの色彩が、20年くらい前の渋谷109みたいでテンション上がりました。華ちゃんに至っては完全にANAPだった。あのドレスも髪飾りもすっごく可愛い!!れいちゃんも、ああいうパキッとした色がよく似合う。中詰めで圭子さまと番張っている音くり様がめちゃくちゃオラオラしていて更に好きになりました。好きだー!リプライズの5人にもテンションが上がりつつ、可愛い掛け声を上げまくっている華ちゃんがもう可愛くて可愛くてずっと見てしまった。
ロケットを先導するひとこちゃんに既視感があったんだけど、何だっけ?ちぎちゃんのショーだったっけ?人数が少ない中でも、大人数に見えるロケットだった。フルメンバーでの公演が待ち遠しいねえ。
女役さんのれいちゃんの脚が美しくてオペラグラスでずっと見てた。あんな良い塩梅に透ける素材のプリーツっていうのがあるんだなあ。チャコットのポスターでも惚れ惚れするれいちゃんの美しい脚の筋肉よ。なんかずっと脚ばっかり見てるな。ここのしぃさまのソロも素晴らしかった。耳もしあわせ。
大介ショーあるあるの再生の場面は、ずっとれいはなのお衣装が気になってた。あの白いお衣装もよく見るよね。
ひとこちゃんのアイドルっぽい場面では、わたしが好きな男役の人たちがずらりと揃っていたので、誰を見ようか迷っているうちに終わってしまった。
ポルノグラフィティの歌って、ワンフレーズに歌詞を詰め込みまくりの超絶滑舌試されナンバーだけど、宝塚でよく使われるよね。いつも大変そうだなあと思いながら聴いてるよ。ということでフィナーレ。フォーメーションが格好良かったので、あまりオペラを使わずに楽しみました。れいちゃん中心の群舞は見応えがある。真ん中の人が緩急のあるダンスを踊るから、それが後ろの方まで波及して揃うのがよく見える。れいはなのデュエットダンスも同じく。銀橋に出る直前のれいちゃんが格好良くて印象に残っています。
パレードでは、2番手羽根を背負うあきら君を見て、涙が出ました。2番手羽根って、ある意味とてもデリケートな扱われ型をされるじゃないですか。そんな羽根を背負って、めちゃくちゃ輝いているあきら君を見て、感極まってしまった。


【五感を使って楽しむ】

久しぶりに宝塚を観に行ったのですが、すごく充実した時間だったのか、疲れ切ってしまって、帰りの電車で液状化してしまいそうでした。それだけ濃厚な時間を過ごせたのでしょう。五感を使って楽しむ、世界に集中して没頭する時間が好きです。これからもずっと、好きでいられますように。

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