すーぱーからしちゃんねる

からしがみたものをまとめたものです。

月組大劇場公演『カンパニー』

【わたしはサラリーマンを知らない】

実はわたし、サラリーマン、つまり一般企業(商社とか?)のオフィスで働く男性のことをよく知りません。自分自身も専門職だし、父は研究職。身近な男性は自営業やフリーランス、研究職。スーツを着て革靴を履いて、ネクタイ締めて9時に出勤して、12時にお昼ご飯を食べて、土日祝日がお休みです。っていうサラリーマンな男性なんて、ドラマや映画の中でしかお目にかかったことがない。そもそもオフィスで働いたことないし。
珠城りょう演じるサラリーマン青柳誠二が、サラリーマンらしいからしくないかは、わたしにはよくわかりません。でも、お話が進むと彼のことがとっても好きになり、がんばれ!と応援したくなる。楽しいお話でした。

有明製薬のひとたち】

原作は未読です。なので、原作はどんな色の小説なのかわかりません。とてもポップで明るく華やかな世界なのが楽しかったです。現代日本の本当にありそうな企業が舞台なのに、しっかりタカラヅカしているところが夢夢しくていいよね!
中でも、ゆりちゃん(紫門ゆりや)とまゆぽん(輝月ゆうま)が食堂でランチしている場面、彼らの生活が見えて来るようなお芝居と掛け合いにきゅんとしました。ゆりちゃんはダイヤモンド誌を読んでそうとか、まゆぽんは毎週ジャンプをコンビニで買ってから出勤してそう(そして高崎さんに覚えられ、変則的な発売日の日にレジに持ってこないと勝手に心配されたりしてそう)な感じが滲んでた。妄想が膨らむ役作りっていいよね!

たま様の誠二さんの良いところは、まずその肢体が良い。そして顔。そして、特筆すべきなのが、リュックタイプのビジネスバッグの肩紐?をめっちゃタイトに背負っているところ!素晴らしい!こんな人居そう!いやいないけど居そう!居てくれたらいいな!良くない?駅までチャリ(giantのロードバイク希望)なんだよ!両手が空くからあのタイプなんだよ!電車に乗るときはきっと手に持ち変えるんだ!まわりの人に迷惑をかけないようにね!っていう己のドリームが詰まってる。リュック背負ってるトップスターに最大限ときめきました。トップスターは大羽根だけじゃなくて、リュックも素敵に背負えるんですよ!恐れ入ります。
あのリュックには何が入ってるんだろう。とりあえず電動歯ブラシが入ってそう。手帳は高橋を使ってそう。5色で1本のフリクションを使いこなしてそう。きっとシャーペン派ではなく鉛筆派。「いろいろ使ってみたけど、結局は三菱の鉛筆が一番使いやすいんです」と言って欲しい。もちろん銀のキャップ付きのね!奥様が作ってくれたペンケースには、空手大会の参加賞で、学生時代から使っている定規が入っているにちがいない…っ!!
道着姿も浴衣姿も、ジャケットを脱いだベスト姿も素敵だったけど、なぜかわたしの心を鷲掴みにしたリュック姿のたま様なのである(笑)そうか、あのリュックにはわたしのときめきが詰まっていた。

うみちゃん(海乃美月)の瀬川由衣はとても身近に感じました。『ケアさせてください!』と人を追い回す仕事にも共感できたりして(笑)ジャージ姿はうっとりするほどスタイルが良くて、この人と一緒に仕事したいな!って思えた。高野さんとのこれからも楽しみで、どんな関係になるのかな〜〜^^その余韻にきゅん。

【敷島バレエ団のひとたち】

バレエのことはサラリーマンたち以上に知らないよ!でも、ちゃぴ(愛希れいか)のバレリーナ姿がまた見られてしあわせだよ!
高崎さんは、お衣装がかわいかった!コンビニの制服もポップでかわいかったし、浴衣の着こなし、柄足袋でかわいかった〜。ラストのドレスは月組カラーで、ちょっとうるっときたり。キャラクターとしての高崎美波は、たったひとことの台詞で好きになれなかった。残念です。ちゃぴに罪はない。青柳さんが有給使って会いにきてくれたらいいね!とは思えたんだけどね。

みやちゃん(美弥るりか)の高野悠は、今の月組ならではの大人な二番手役だよね!石田先生が好きな『二枚目キャラにわざとダサいことをさせたり言わせる』っていう、イケメンへのコンプレックスからなのかなんなのかよくわからん笑いの取り方、「ぎっくり腰」も「スーパー銭湯」も、総スベりでーす\(^o^)/残念でしたー\(^o^)/ってべろべろばーしたくなるくらいに、高野さんはプロフェッショナルな男でした。長年一線で活躍してきたダンサーなら、身体を痛めていてもおかしくない。ぎっくり腰にもなる。腰痛バカにすんなよ。本当につらいんだぞ(腰椎ヘルニア持ち)気取らないでスーパー銭湯でセルフメンテをする姿もストイックで、逆に格好良く思える。スキャンダルに対して無防備だったのは謎ですけど。日本だから?日本だから気を抜いたの?
地に足着いてて、自尊心も他者へのリスペクトもちゃんと持っている男のお芝居がすてきでした。みやちゃんのそういう存在感が好きです。立場的にもそうなんだけど、オンリーワンの存在感だと思っています。いつか絶対に、一番大きな羽を背負ってほしい人です。

結構前からありちゃん(暁千星)のこと、ついついオペラグラスで追いかけてしまう。実は初舞台の時から。
長谷山蒼太くんは、カワイイ弟キャラなんだけど、チャラチャラしてなくて、芯の通った男で、ハートの熱い男性像が印象的。やさしそう。ありちゃんのお芝居に『男役をやってます!』っていう力みを感じなくなって、これからがますます楽しみです!

【どっちでもないけどカンパニーの人たち】

つまりバーバリアンですよ!!あの人たちお芝居中なのに隙あらば釣って来るから油断ならねえ…!!夏祭りでニッカポッカ履いて踊る姿も超格好いい。
そうそう、フラッシュモブの場面は、あれフラッシュモブじゃないよね。だってバーバリアンはモブじゃないじゃん。バーバリアンのメンバーが、通行人やおじいさんに扮装してる…訳でもないし。ジャック感とか、サプライズ感を出したいなら、チョンパにするとか、メインキャストが客席登場をするとか、もっとやり方があったとおもう。あ、でもピカピカ光るネオンの女の子たちのお衣装は可愛かった。近くで観てたけど、客席にあんまりアピールせずに去ったのは謎だった。なんだったんだあれは。
でね、なんかやたらとバーバリアンが嫌味な感じに描かれてるのが気になるんだけど。阿久津さん(宇月颯)はよりcoolなものを目指してけしかけるような言動をするんだし、那由多くん(月城かなと)には自分なりの意地があるの。だらこそ、武道館をいっぱいにしたり、ドームを沸かせるグループの男気が、説得力が感じられるお芝居には安心しました。でもさー、完全に誰をモデルにしたかわかっちゃうようなキャラクターを嫌味に描きすぎてて、おい石田昌也。disってんのか?不愉快だわ。ってなった。

何も考えなければ楽しいお芝居ダッタナア〜〜。で終わるのに、そうはさせない石田昌也脚本・演出。ある意味期待を裏切らない寒さ。

【怒りのラインダンス!!】

は、踊れないので、ここからはぶーぶー文句を言います。毒にも薬にもならない?上等だよ。
まず、いろんな方面へのリスペクトが欠けているのがヤバい。ヤバすぎる。
今、この平成30年にやたらとお相撲を話題に出すところがいただけない。意地悪すぎるでしょ。この言い回しにお相撲ファンの人、どんな風に感じるだろうとか思わないの?他人の好きを踏み躙ってはいけないよ。
歌舞伎がアニメを〜っていう言い回しもいちいち見下したようなニュアンスを感じちゃうし。歌舞伎に対してもアニメに対しても。わたしが意地悪な見方をしてるからなのかね。しっかりと稽古して、型を身に入れたフランス人役者の立ち役、観てみたいじゃん!何がダメなの?何が言いたいの?わかんない。
嫌味な専務が沖縄に左遷されるオチはいいけど、ウコンの栽培で笑いを取るのは沖縄のウコン農家の方に失礼だよ。「専務、初孫が生まれたばっかりらしいよ」「都内に一戸建て構えたばっかりなのに単身赴任だなんてねえw」みたいなセリフじゃだめなの?わっかんねえ〜
この作品に限った話ではないけれど、石田先生のシベリア並みに寒い社会批判を聞いてると、現実社会で遭遇する寒いおっさんの説教を聞かされている気分になるので、本当はすごく嫌だし不愉快です。どうしても発信したいなら、自分の口で言えば?あなたの嫌いなSNSで。って思うんだよまじで。
あのね、知らないこと、わからないことは罪でも恥でもありません。一番ヤバいのは、知らない事を知ろうとしない態度、物事をわかりきったように振る舞うその態度ですよ。ダサすぎて奥歯が抜けそう。

最後に、今すぐやめて頂きたい表現があります。
亡くなった人を幽霊呼ばわりするのは、尊厳に関わる表現なので、今すぐやめてほしいです。
そんなセリフをヒロインに言わせてはいけないよ。相応しくない。
原作にそんな表現はない、と聞きます。まさか原作への敬意もないのだろうかこの脚本には…
人の死が軽んじられているように感じて深く傷ついた。劇団にメールしようかなと思ったくらい。


毒にも薬にもならない人間になるくらいなら、死んだ方がマシだと思うので、わたしはピースフルプラネットには住めません。
行くぜ月へ!!