すーぱーからしちゃんねる

からしがみたものをまとめたものです。

花組大劇場公演『ポーの一族』

【期待!不安!でも期待!!】

あの『ポーの一族』がついに宝塚歌劇で観られる!と全世界が震撼したでろう発表。
大学時代にコミック表現の講義で萩尾望都作品を知ってから、その世界観と繊細さ、甘さと残酷さに魅了されており、もちろん『ポーの一族』は、たいせつに、何度も何度も読み返し、台詞やコマ割りが一瞬で想起できるくらいに愛しています。
小池修一郎先生が予てから歌劇化を望んでおり、それがなかなか叶わなかったことも知っていたので
『ついにその時が来たんだ!!』
と興奮しました。
でも、小池先生のコミックの歌劇化には安心できないトラウマがあったんだよねー。
それは『るろうに剣心』のトラウマ。
わたしには『るろ剣』で裏切られた苦い苦い経験がありますもので、演出補に小柳先生と、生田先生と、SVに七海ひろきを揃えてくれないと、安心して2018年のお正月が迎えられません!!とtweetしちゃったりもしました。
でもでも、小池先生の『ポー』への思い入れや本気度は、『るろ剣』の比ではないはず!!
友の会が運命的な日程で、しかも素晴らしいお席を当ててくれた時には
「ありがとう友会!!ズッ友だょ!!!!!」
とまじで叫びました。
ほんとズッ友でいてほしい…

【言葉を失う】




以上が1幕を見終えた時の、非常に頭が悪く新鮮な、おのれの感想tweetでございます(笑)
いやでもだってちゃんでごめんだけど、これを冷静に捉えられる人っているの!?
再現率って言い方は大嫌いだけど、幕間に沸く観客が「再現率はんぱない」としか囁きあえないきもちわかる。
めっちゃわかる。びっくりする。
2幕はどうなるんだろ!?どうするんだろ!?と思いながら幕間を過ごせるのも、原作ファン的にはしあわせな時間でした。


スゴ過ぎてバカになるしかない。

【全体像】

わたしはもう少し光と闇のコントラストが強めで、耽美でちょっとだけホラーな方が好きだけど、本当によいさじ加減だったと思う!
まあ、ところどころエリザベートだったのが気になったよね。そして最後はベルばらだった(笑)
ゴンドラはやめてくれ笑っちゃうからww 
最後はエドガーとアランが幻想的なスモークの中を怪しく踊るとかじゃダメなの??www 
Oh、これは仕方ない。
原作も知らずゴシックなムードに慣れない客層へのファンサなのだろうと言い聞かせ。ただタカラヅカを観に来た的な方々が求めてるソレなんだろと。
小池先生は学生時代にアングラ劇に魅せられていたようだし、もっとゴシック色強めで、おどろおどろしく怪しい世界を表現することだってできたはずなの。手腕や技法をご存知でしょうし、思いついたでしょうね。

小池先生も、よく妥協したよね!
何様だよって感じだけど。わたしはお客様です!

最も嬉しかったポイントは、楽曲がどれも美しく素晴らしかったところ。
萩尾先生のうつくしい詩の世界をゆったりと聴かせてくれたところ。
♪われーらはー いちーぞくー ♪ポーのいーちーぞーくー の歌詞、制作発表で歌われちゃった時には『やばいのキた…』って思ったけど、実際に劇場で聴いたらむしろこれで良かった。
正解だった。
コーラスも迫力があったし、大正解だった。

エドガーの狂気』でのみりおちゃんの歌い上げは最高。シビれる〜!
やっぱりエリザベートを経験したトップさんと、組子の成せる表現だなあと圧倒。
特にお気に入りのナンバーは『ゆうるりと』です。
気だるげに美しく漂うシーラ(仙名彩世)のソプラノと、まろやかなポーツネル男爵(瀬戸かずや)の歌声。
陰鬱なイギリスの森と薄闇にあらわれる馬車のセット…ゆうるりと目覚めるエドガー(明日海りお)が、うっとりするほどに美しい。

劇中最後のナンバーが、時代に合ったロックンロールにアレンジされてて『これこそ、時の流れを表す音楽的演出よのう』と思った。
1959年は馴染みのある数字で、耳慣れたロックンロールはとても身近に感じる。印象的で、ものがたりを膨らませていたと思いました。
東宝のオケでは、大劇場と違ったアレンジになっていたり聞こえ方がするので、次に東京で観られるのが楽しみ。
より都会的に洗練されて、たとえば90年代V系みたいな鋭さのある演奏になっているといいなあ!

【語りつくせないよ〜!】

舞台をを作り上げている組子やスタッフさんひとりひとりを褒めちぎりたい気分。
でもね、その中でも特筆したいのが、アラン(柚香光)です。
アランの悲鳴と絶叫がとてもゴスの世界で、大衆演劇になり過ぎず、きちんとゴシックしていてその塩梅がとても良かったのです。彼がどんどん追い詰められてゆき、ついに爆発した!そのエネルギーが生でも死でもないものに突き進んでゆく感じが、もうね、たまんない。厨二的で。

全体的にも悲鳴が上手に用いられているところ、そしてその悲鳴にも品があるところが素晴らしかったと思います。芝居の悲鳴って嘘っぽくなりがちで、覚めちゃうポイントだったりするから、娘役さんたち、れいちゃんの悲鳴や絶叫がとても良かった。
ジェィン(桜咲彩花)の発狂、メリーベル(華優希)の嘆き…。このおはなしに残酷さやエグみを品良く加えている。ただのホラーになっていないのが、きちんと宝塚歌劇でいてすばらしかったです。

とりあえずは、観劇したお友達と萌え滾ったところを語り合って、自分なかで美味しく消化したいと思います。
劇場で、ちらほらと黒装束の同年代と思わしき方々をお見かけできたのが嬉しかったです(笑)