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からしがみたものをまとめたものです。

歌舞伎座『吉例顔見世大歌舞伎』〜蜘蛛の絲宿直噺〜身替座禅〜一條大蔵譚〜義経千本桜(四の切)〜

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やぐら

【感染対策】

11月といえば、世の中的には結構気が緩んでいた雰囲気を思い出すのですが、歌舞伎座の感染対策と安心への取り組みは、コロナ以後の公演再開の時点から、一切気を緩めることがなかったように思います。興行的には真っ赤っかなのではなのではないかと、素人なりに心配になるほどではあります。でもね、美しいものを見ることって、人間には本当に必要な事なんです。宝塚にしろ歌舞伎にしろディズニーにしろ、どんな舞台でも、美しく夢のある世界がいつでもそこにあるというのは、希望です。

さて、今年から通い始めた歌舞伎座。実は9月には『色彩間苅豆』『双蝶々曲輪日記(引窓)』『坂東玉三郎口上・鷺娘』を。10月には『京人形』と『梶原平三誉石切』を見ています。感想をブログにまとめたかったのですが、目がまわり倒れるほど忙しかったので、記録だけに留めます。この中でのお気に入りは『京人形』かな。登場人物がみんなかわいらしくて、後半の工具バトルが面白過ぎたので、またいつか見たいです。


【蜘蛛の絲宿直噺】

早々に土日のチケットが売り切れてしまったので、大慌てで平日の券を手配しました。ひとつ飛ばしの廃席での販売でしたが、夏以降、こんなに歌舞伎座に人がいるのを見たのは初めてでした。粛々とした盛り上がりに気持ちが浮き浮きしました。
わたしは中村隼人さんの頼光がお目当てだったのですが、笑三郎さんも笑也さんも、ナルトやワンピースで顔を覚えた役者さんだったので、またお会いできてうれしかったです。猿弥さんの坂田金時も豪快で、好きなお芝居をされる方なので、見ることができて嬉しかった。中村福之助くんは顔が好きです。
今作の見所はなんといっても市川猿之助さんの五変化ですよね!鮮やかで派手で、本当にうつくしかった。蜘蛛の糸が宙を飛ぶ繊細な白、それを手早くせっせと回収する黒衣。画として華やかで鮮やかだったので、「派手でビビットなものを見たい」という欲が満たされました。
しかしながら、歌舞伎ならではの世相をネタにする演出には、今回は少し傷つきました。傷付いたのは、舞台上の台詞やCOVID-19の扱い、というよりは、客席の笑い声にだったように思います。今も病気で苦しむ人、後遺症に怯える人がいる中で、この病気を笑えるほどわたしは強くなかった。
少々の苦味を感じながらも、隼人さんのお顔を拝む時間に森羅万象への感謝を抱き、目が見えることの喜びと、時間と空間に溺れました。病八巻めっちゃ似合う(褒めてる)舞台写真いっぱい買っちゃった!


【身替座禅】

菊五郎さんのうふふ顔とトホホ顔がとても可愛らしかった。歌舞伎の世界の男の、この可愛らしさとチャーミングさって独特ですよね。長いお芝居が見られる日がはやくやってきますように。世話物が見たいよー。玉の井左團次さんも、足を鳴らしているだけなのに、なんか面白可愛いってどういうことなの!?って思った。ひとつひとつの動きがラブリーなの。
そして、ナウシカ歌舞伎でお顔を覚えた右近さんと米吉さんに、また会えて嬉しかったです。


【一條大蔵譚】

ちゃんと予習して行ったのに、よくわからなかった…。イヤホンガイドを使えばよかった。でも、お衣装が豪華だったので、そのあたりを眺めて楽しみました。


義経千本桜(四の切)】

市川染五郎くんと市川團子くんが出演して、莟玉さんが静御前をやるといったら、何がなんでも見に行かなくっちゃ!と意気込んで見に行った。実は四の切は弥次喜多のパロディ(東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖)でしか見たことがなくて、やっと本物の四の切が見れて嬉しかったです(笑)でも、仕掛けの仕組みがわかっているからこそ、源九郎狐が消えたり飛び出してきたりするのを楽しく見ることができました。
染五郎くんは、驚くほどスタイルが良く、まだ少年らしく線も細いので『このまま月組に混ざってウェルカムウェルカム歌っててもわかんないな』とか思いつつ、発光する美に慄きました。いやほんと光ってた。光を放っていた…。そのお隣には、お人形さんのような静御前の莟玉さんですよ、なんという眼福。少女漫画かと思った。大正時代の羽子板かと思った。お二人の並びの舞台写真は、人気があったようで、わたしが買いに行った日には『売り切れ御免』になっていました。「あ〜ん!一番良いのが売り切れ!」と嘆くマダムに「ですよね。とっても綺麗だから人気なんですねえ」と声を掛け「私、莟玉さんが好きなの。今晩見るんだけど…」ときゃっきゃしたお話ができたのが嬉しかったです。もちろん小声でね、ちゃんと距離を取ってね。
源九郎狐の獅童さんは、アニメのや童話のような狐さんで、歌舞伎というジャンルを超えて狐だった。例えばわたしが日本語がわからなくても、彼の芝居を理解できただろうなあと思った。筋書のインタビューにあった、勘三郎さんとのエピソードが胸に蘇るような、喜ぶ源九郎狐の姿でした。

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第一部を観てから宝塚へ飛ぶ

【めでたい焼き】

わたしまだ、歌舞伎座の「めでたい焼き」を食べたことがないんですよ!!みんながみんな、口を揃えて「歌舞伎座のたい焼き美味しいよね」って言うので、食べてみたくて食べてみたくて仕方がないんですけれど、まだ復活しないのかなあ。
こんな感じで、まだまだ歌舞伎ファン予科生でございます。わからないこともたくさんありますが、わからないなりに、わからないことも楽しんで参りたいですよ。


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