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歌舞伎座『新版歌祭文-野崎村-』『籠釣瓶花街酔醒』

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昼の部で切符を買っても良かったんだけど、はっきり言ってわたしは『釣女』が嫌いなので、『野崎村』と『籠釣瓶』どちらも幕見で見た。『釣女』は古典だからといって、女を釣ってくるという発想が嫌いだし、なによりブスで笑いを取る構成が大嫌いだ。この世にかわいくないブスなんていません。笑われて良いブスもいません。


【新版歌祭文-野崎村-】
お光/鶴松
久松/七之助
お染/児太郎
久作/彌十郎
お常/東蔵

評判通り、鶴松くんが素晴らしかった。「あにさん、おまめで」が今まで見たことのないお光で、わたしは泣いてしまった。最後の慟哭にも泣いてしまった。お光、男は他にもいるよ。話聞くよ・・・(出家するんだってば)鶴松くんの大根の千切りが上手だった。普段からお料理する人に違いない。あの立派なお大根は、あの後お味噌汁の具になったりするんだろうか、などと考えていた。
児太郎さんのお染もよかった。すぐに死ぬって言い出すところが、いかにも都会の女の子らしくて良かった。児太郎さんのやわらかい女形が好きです。


【籠釣瓶花街酔醒】
次郎左衛門/勘九郎
八ツ橋/七之助
治六/橋之助
釣鐘権八/松緑
栄之丞/仁左衛門

七之助さんの八ツ橋の微笑は、この世のものとは思えない天女様のような笑みだった。愛想尽かしの場面では、不安定な心情と揺らぐ気持ちが鮮やかに見えました。八ツ橋はあの間夫が好きで、利用されているのもどこかで気が付きながらも、離れたくないんだよね。わかります。
勘九郎さんの最後の台詞、八ツ橋の亡骸に注がれる視線、すべてに狂気が満ちていて、ゾッとして美しかった。こういうのをわたしは歌舞伎に求めているんだ。次郎左衛門が足袋を脱ぐところがめちゃくちゃ怖い。店にやって来たときから、八ツ橋絶対殺すマンじゃんこの人。この話、実際にあった事件が元になっているんだよね。吉原はこわいところだ。橋之助くんのお芝居がとても良かった!!顔を真っ赤にして、涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにして、悔しさと怒りとやるせなさと羞恥を爆発させるお芝居に感動しちゃった。幕見席まで感情が飛んできて、本当に素晴らしかった!
仁左衛門さんは本当に格好良くて若々しくて、瑞々しくて、両手を合わせて拝んでしまった。
芝のぶさん、鶴松くんの花魁道中が見られたのも嬉しかったです。