すーぱーからしちゃんねる

からしがみたものをまとめたものです。

チバユウスケへ 献花の会『Thanks!』

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【後悔】
わたしには後悔していることがふたつある。

ひとつはTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT(以下ミッシェル)のライブに行かなかったこと。
ミッシェルの解散当時は、高校1年生だった。すでに精神的に体調を崩していたわたしは、なんとか進学した高校にもほとんど通えず、寝ることも食べることも、生きることも死ぬことも、どうしたらいいのかわからない状態だった。でも、音楽は好きだった。中学生の時に、ラジオでたまたま出会ったミッシェルは、過酷な少女時代に寄り添ってくれていた。わたしがどれだけ過酷な少女時代を過ごしてきたかについては、今度会ったときにでも、こっそり右腕を観察してみてほしい。
解散はとてもショックだった。最後のライブ、とても行きたかった。でも、怖くて行けなかった。電車にもまともに乗れない当時のわたしは、ちょっとでも怖いことがあると過呼吸を起こしてパニックになっていたので、あんなに大勢の人が集まる場所なんて、怖くて行けなかった。ロックに理解のある母に「本当に行かなくて良いの?一緒に行ってあげるよ」と言われたけれど、親とライブに行くなんて、恥ずかしかったし、あの熱気溢れるフロアに自分が立っていられる自信が無かった。
大学生の時、ギタリストのアベが急逝した。
『ああ、これでミッシェルの音を生で聴けることは、なくなったんだな』と思った。あの時、勇気を出して幕張に行かなかったことを、心の底から後悔した。

もうひとつは、The Birthdayのライブに行かなかったこと。
ミッシェル解散後、ボーカルのチバが新しいバンドを組んで活動していたことは知っていた。メンバーそれぞれが新しい活動をしていることも。ROSSOくらいまではちゃんと聴いていた。チバがドラムのキュウちゃんとThe Birthdayというバンドを組んでいたことも知っていた。でも、その頃のわたしは、ロックから離れて、宝塚のお嬢さんたちに夢中な時期だったので、積極的に聴いてこなかった。
ある日、たまたま博多で時間を持て余していた(飛行機の時間を間違えたのだ)わたしは、映画館で『SLAM DUNK』を観た。
映画館に響くチバの声。格好良かった。しびれた。『やっぱりこれだ』そう思った。そして『The Birthday』のライブ行こう。チバに会いに行こう。と思った。
病気療養で活動をお休みするとの発表があったときは、あまり心配していなかった。ガンは今や不治の病ではない。『もどってきたら、会いに行こう』と思っていた。
でも、チバは戻ってこなかった。


【献花の会】
お別れの会って、テレビでは観たことあるけど、行ったことないし、行ったことのある人も知らないし、『何を着ていけばいいんだ』というところから始まった。会場はライブハウスだし、ガチの喪服で行くのはなんか違う気がするし、わたしはミッシェルやThe Birthdayのグッズを持っていないし、とりあえず普段は着ない黒い服で行った。ピアスは流れ星のピアスにした。『星くずのひとつの気分はこんな感じ』と口ずさみながら。
献花っていうから、花を手向けるんだろうけど、何の花なんだろう。菊?なんか菊じゃロックンローラーな感じはしないし、チバは薔薇って感じではない。似合うけど。
会場に着いたら、とりあえず、ガンダムの写真を撮った(笑)気付けばまわりは黒い服の、マーチンの靴を履いた人たちでいっぱいだった。そういうわたしも、マーチンの3ホールを履いていた。
普段は女性ばかりの現場にいるので、男女比半々くらいなのが新鮮だった。男性が多いからか、待機列が寒くないのが面白かった。
列を整える男性スタッフのネクタイが、喪に伏した黒だった。参列者にかける声が、なんとなくやさしかった。
ロビーに入ると、チバの写真がたくさん飾ってあった。最近のやつから懐かしいやつまで。前後左右から啜り泣きが聞こえた。もうわたしはうるうるしちゃってた。
チバに用意されたお花は色とりどりのガーベラだった。若い女の子のスタッフが、一輪ずつ参列者に手渡していた。その女の子のお花の渡し方が、とても心がこもった渡し方で、わたしは感激してしまって、目から涙が溢れないようにするので必死だった。わたしに配られたお花はピンクのガーベラで、ちょっとかわいくて笑えた。
会場にはチバの歌声が響いていた。ステージにはチバの写真、ガーベラで模られた大きな星、金色に輝く星々、キャンドル、マリア様。マイクスタンド、グレッチ、アンプ、エフェクター、絨毯があった。
献花台の前に立って、ガーベラにマスク越しに口づけして、手を合わせたら、涙が止まらなくなった。わたしのつらい少女時代に寄り添ってくれてありがとう。大好きだよ。さようなら。号泣してしまった。
後方のスペースで、祭壇を眺めながら『1000のタンバリン』と『あんたのどれいのままでいい』をしみじみと聴いた。ライブハウスに響く、チバの歌声。やっと聴けた。やっとこの場に立てた。やっとわたしはチバユウスケのファンを名乗れるなと思った。それと共に、つらかった少女時代は、思い出に昇華したんだなと思った。
あんまりスピリチュアルなことは信じてないんだけど、確実にチバは「ここにいるな」と思った。「いないんだけど、いるな」と思った。「わたしたちと一緒にいるな」と思った。そんな風に思わせる空間だった。
ここに連れてきてくれてありがとう、わたし。

こんなに泣いちゃうとは思わなかったなあ。中学生の時から大好きなんだもんなあ。泣きすぎて放心状態になったので、ドーナツを食べて帰った。


Rest in peace.
with LOVE.