すーぱーからしちゃんねる

からしがみたものをまとめたものです。

The Music Box:宙組東京宝塚劇場『アナスタシア』

【あの日の12月】

『アナスタシア』楽しかったなあ!東京も感染対策に務めつつ、思う存分楽しむことが出来ました。もしもこの作品が、コロナのない世界で、オリンピック開催中に上演されていたら、何度も観に行くことなんて叶わなかったかも知れない。奇跡のような思い出になりました。
とにかく『アナスタシア』は楽曲が素晴らしかった。BW版からして曲が素晴らしいのですが、宝塚版として生まれ変わった楽曲も新曲も、キャストの歌唱も、コーラスの表現も、本当に素晴らしかったのです。
さて、従来の当ブログでは、キャストや役に焦点を合わせて観劇の思い出を振り返ってきましたが、今回は趣向を変えて、楽曲と一緒に『アナスタシア』の思い出を巡ってみたいと思います。
※曲名の表記は、実況CDによる。



【act.1】

♪Opening fanfare
ファンファーレから始まって、コーラスの「アアアアア~♪」で既に心を奪われますね。「うわあ!宙組だ!」と実感する。本の表紙が開くと同時に、物語に吸い込まれていくようで、一瞬でに『アナスタシア』という作品が好きになりました。『アナスタシア』の素晴らしさは、コーラスの宙組の魅力と共に旅をする物語でもありました。

♪Once Upon A December
もの悲しくノスタルジックな旋律が物語のキーになり、この後たくさんの場面でこのメロディーを耳にします。じゅっちゃんが、子供が歌うように歌っていて、かわいい。アレクサンドラやニコライ2世は『神々の土地』でもおなじみの人物で、アレクサンドラが「お祈り」と口にする度、この後の不穏な展開を匂わせます。もえこパパの娘になりたい人生だった。

♪The Last Dance Of The Romanovs
えっ、『ロマノフたちの最後のダンス』っていう曲名だったのか。そのまんまだけど、改めて文字になると寂しいですね。荘厳で、ロシアっぽくていいよね。アレクセイのららちゃんもかわいいし。ロマノフたちを追い詰めてゆくボリシェヴィキたちの中でも、特にさおのゴリンスキーがめちゃくちゃ怖い。舞台の温度や質感が変わるんですよね。そして、燃えてしまう家族写真。ある日にはこの演出を見ただけで泣いた(情緒が不安定)

♪Prologue-Unquiet Times
幕前の群衆のダンス、好きでした。ほんの数小節なのに、世の中の混沌を肌で感じられます。しかも、ここからの場面、情報量がめちゃくちゃ多いよね。ディミトリがヴラドを逃がしていたり、闇商人がいっぱいいて、当時のロシアの雰囲気があらわれていたり。小さなたくさんの芝居が街を作り上げている。芝居に合わせた生オケではなく、録音のオケで、タイミングを合わせるのが大変だったろうなあと思いながらも、実際はその大変さを伺わせるような事はなくて、流石でした。そして、グレブさんの演説を聞いているようで聞いていない民衆。適当に拍手している人もちらほら居て、当時はそんなもんだったんだろうなあと。オペラグラスでひとりひとりの表情や仕草を追うのが楽しかったです。

♪A Rumor In St.Petersburg
銀橋から現れるディミトリ!ダニー・オーシャンの再来か。詐欺師はオケピから登場するものなのか(詐欺師なんかじゃ~ない)
「見よ!これが宙組である!!」と言いたくなる場面だった。大人数での合唱でありながら、歌詞がはっきりと聞き取れるのである。数小節ずつのソロでの歌いつなぎが、しっかりはっきり聞こえる上に、音も外さないしリズムも崩れない。人数が2/3であっても、ハーモニーが痩せない。組子全体の歌の偏差値が高い。しかも、楽しい。わたしもディミトリを囲んで「他人とタコ部屋でぎゅうぎゅう詰め~~♪」って、おしくらまんじゅうしたい!「すごい話だ~~♪」って、両腕をびよ~んと伸ばしたい!「路地裏や壁も ささや・い・て♪」のスタッカートがたまらない!
ディミトリとヴラドのバディ感もいいですね。このふたりが仲良くなるエピソードとか妄想しちゃうね(笑)
初見でヴラドが太っていないことにちょっと残念な気持ちになったのですが、ずんちゃんのヴラドもかわいかったので、後半は気にならなかったよ。スマートな分、胡散臭さがマシマシになるね(褒めてます!)
グレブさんがアーニャに一目惚れする場面も、一瞬なのに色濃くて、背景にお花が咲いているようなグレブの笑顔が良かった。「私は毎日、ここに居るから!同志・・・」が恋だよね。台詞を増やして甘い余韻を残したのが宝塚らしくていいよね。恋している声色。BW版だと「震えているね」で恋に落ちたと感じるんだけど、キキちゃんの役作りとは違って聞き比べが楽しいです。
闇市で売っているパジャマって、BW版だと『ユスポフ伯爵のパジャマ』って歌われてるんだよね。「ゆりかちゃん、それ買いなよ。縮んでるっぽいけど、上下そろってないけど」っていつも思ってた。
闇商人、若翔りつの胡散臭いヒゲと胡散臭い芝居も最高だった。闇商人は粒ぞろいでみんなウマい。お金よりも豆の缶、食料の方が価値があるって、それだけ不安定な情勢だったってことよね。ディミトリがパリでお金持ちになると夢を見ているのも納得。
全員が銀橋、花道に並んでの大合唱は、とにかく迫力がすごくて、思い出しながらこれを書いている今も鳥肌が立ちます。いたずらっぽい表情で噂話を歌うペテルブルグの民衆は、ちょっとチャーミング。アニメでもここの場面は好きでした。

♪She Waiks In
千秋楽配信の「ガム食べないで言ってくれる?」のディミトリの表情、最高でしたよね!ああいう顔をしていても、ゆりかちゃんは格好いいんだから優勝だ。
ディミトリは、あの日のパレードを覚えていて、本物のアナスタシアを見つけたらすぐにわかるはずだという自信がある。そう歌っているんだけど、恋の予感もちらつくのは、あの日のパレードでディマがアナスタシアに恋をしたからなのかな。彼にとって大切な思い出なんだろうな。「まるで、ヴァイオリンが突然、奏でられるように♪」のところのヴァイオリンのフレーズが美しくて、いつもうっとりしていました。デュエットダンスでも、ここのフレーズはとても繊細で綺麗ですよね。
とても素敵な曲を書いてもらって、良かったねという気持ちです。いつか、逆輸入されるんじゃないかな。
でも、ディミトリは初対面のアーニャをアナスタシアであるとは見抜けずに「アタマオカシイヨ」扱いしちゃうんだよね、そこがかわいいよね。

♪In My Dreams
まどかちゃんが歌えるのはもちろん知っていたんだけれど、どんどん豊かになってゆくよね!こちら側のイマジネーションを刺激してくれるような歌になっていて、舞台に映し出された舞踏会も、脳裏に浮かんでくるような。そして、アーニャのキャラクターと芯の強さがわかる。強く、そして、何も恐れない。
うしろでアーニャの歌を聴きながら、目を輝かせているヴラドおじさんが好きです。

♪The Rumors Never End
ボリシェヴィキって、顔採用なんですか。脚が長くないと入れないんですか。顔が小さくないと入れないんですか。
このメロディは2幕でも使われていて、でもなんか、面白い使われ方ですよね。マス的なもののイメージなのかな?時代の流れとか、そういうものの。

♪Learn To Do It
もー!この曲は本当に楽しい!素敵な曲がいっぱいあって、どの曲が一番かは決められないんだけど、5本の指には入る。確実に。
真風・桜木・星風のトリオの歌が安定しているから、安心して楽しめるんだよね~~。ディミトリがちょっと意地悪でときめくし、勝ち気で一生懸命なアーニャもかわいいし、そんなふたりをかわいがっているヴラドもかわいい。BW版では「ストロガノフは好みません」が「あら大好きよ、ストロガノフ」になっているのも面白い。早口で聞き取れないところもあったので、「うるさい、だまらっしゃい」の意味がわかったのは後半だったんですけどね。むずかしいよね。ちなみにわたしは、ゆりかちゃんが「だまらっしゃい」って言うのが面白くて、ただそれだけでウケてた(あほ)
低いキーで「あなたが出来れば、わたしも出来る♪」と、顎をあげてスキップするアーニャが本当にかわいくって、毎回心を躍らせながらオペラグラスを覗いていました。
ふたりの最初のデュエットダンスもかわいいんだよね~!ちょっとスカしていたディミトリも楽しそうで、ラブが芽生えたのを感じる!きゅんです!
最後のアーニャのウインクもかわいくて大好きで、毎回オペラグラスを上げて、高速で下ろして拍手していました。

♪Nevsky Prospect
ディミトリが、善人ではなく、夢を叶えるために手段を選ばず「やればできる」と歌っているのがとても好きで。結構、悪い顔してるんだよね。善人ではなかった彼が、報奨金を放棄することを選ぶという後半の心情の変化がグッとくるのよね。ネフスキー大通りの民衆も、鬱屈した気持ちを抱えていて、お互いを監視する生活の息苦しさと暗さがあって好きです。ここのダンスも好き。

♪The Neva Flows
日々のキキちゃんの一発芸を見ていて「ボリシェヴィキの余興はすごそうだな」と思っていた。政府事務所のレーニンの影は、とても雰囲気があって、でも象徴的で、とてもいいよね。いくつか前の場面で、グレブがレーニンの影と反転したポーズを取るのも良かった。
雄大で、この歌を悠々と歌えるキキちゃんはすごいなあ。「革命に感情はいらない♪」と訳されていますが、BW版では"a revolution is a simple things♪"なんですよね。この訳の違いも、なんとも味わい深いなあと思っている。
この物語は、グレブが「彼自身の」人生を手に入れる話でもあると思っているので、この曲で彼がどんな夢に縛られて、どう生きたいかを、選びたくても選べないでいる仄暗い葛藤を感じるんですよね。グレブさんまじで末永い人生を送ってくれ。ロシアに帰ってからも、ちゃんと仕事しているみたいだし、新体制の中でも、彼なりの心の持ちようを見つけられたのかなと思って安心している。それが彼の春なのかな。

♪The Neva Flows(Reprise1)
仄暗い葛藤の歌を、しょうもない酔っぱらいたちの歌に変えちゃうこの残酷さ(笑)しどりゅうは目がイっちゃってるし、あーちゃんはまた女にすぐ手を出すし、あきもの「なんだこの匂いは?」って何なの???笑
ディミトリに遊んでもらえなくて、さみしくて飲んだくれている連中に見えてかわいかった。アーニャにボコボコにされているし(笑)しかも、わりとすぐに着替えて、ロマノフの貴族たちとして出てきちゃうのもクスリと笑える。

♪My Petersburg
主人公が好きな子に、自分の育った街を紹介しちゃうやつーーー!!
小さな頃の思い出を語っちゃうやつーーー!!
自分の愛称をさりげなく教えちゃうやつーーー!!
これは恋ですよ!!ラブです!!きゅんです!!
わたしはとにかく「来いよ、アーニャ」とアーニャに呼びかけるディミトリを全力で冷やかしたいのを我慢しておりました。「お前ら!両思い!ひゅーひゅー!」
後ろでカップルが踊っているじゃないですか。三組ともラブラブで、ふたりのラブもラブラブしてくるんじゃないかって、背景の映像も疾走感があって、心が高まってくるんですよね。男の子が女の子のほっぺたを両手でぎゅっとするのがかわいかったです。(見所が多すぎて、あのカップルが誰なのか最後までわかりませんでした・・・ごめんね)
許せない街だけど、この街が好きっていいよね。ディミトリは善人ではないけれど、悪人でもない、そんなさわやかさもあって、恋しちゃうよね。

♪Once Upon A Deccember(Ensemble)
まどかちゃんの繊細な歌い出しも綺麗なんだけど、ここはあおいさんのソプラノが本当に絶品でした。アレクサンドラの悲しい声に聞こえてきて、せつなかったな。アーニャに『思い出して』と呼びかけているみたいで。
ゆりかちゃんとまどかちゃんのデュエットも、絶品だった。ふたりの声が綺麗に溶け合っていて、身体がふわふわとしてしまった。普通、宝塚では、主旋律を男役が歌うけれど、ここではアーニャが主旋律でディミトリがハモりで、それでもディミトリが包容力のある男にみえるのは素敵な魔法だなって思った。最後、甘い声で「アーニャ、アーニャ・・・♪」と歌うディミトリにもきゅんとする。恋じゃん。
豪華なドレスに身を包んだ亡霊たちの舞踏会って、すごく宝塚映えするね。違和感がないし、すごく正解っぽい。

♪Stay,I Pray You
宙組の代表的な歌になるんじゃないかってくらいに素晴らしかった。この美しい歌を是非、歌い継いで欲しい。
故郷を追われたことはないけれど、心の中にある望郷の想いが震える。「我が故郷に愛を」の言葉に、客席も各々の気持ちを想起する。それぞれの役が、故郷ロシアにさよならを歌う。生の舞台の一体感を、静かに重く、感じる場面でありました。
凛城さんのソロは本当に素晴らしくて、おそらく男役が出せる音域ギリギリのキー(最初は原キーかと思っていたけれど、改めてサントラを聞き比べたら、流石に数音上がっていた)なのに、声が痩せたり掠れたりしない。しかも日を追うごとに安定してゆくのだから、毎回驚かされた。ハーモニーも美しくて、女声だけだからこその繊細さが、最高にセンチメンタルだった。

♪We'll Go From There
前の場面と変わって、軽快で楽しいナンバー。乗客もキャラクターの作り方が細かくて、毎回オペラグラスが忙しかったですね。ヴラドおじさんはいつも楽しそうでいいですね。「子犬のように 飛び跳ね~♪」のステップが大好きです。パレードでもやっててくれて嬉しい。
「おお、なんて素敵 素晴らしい旅 大きい声では言えないけれど♪」と歌うみんなの満面の笑みを見ると、胸がきゅっとなりました。みんな故郷から出てきた人たちだもんね。複雑だよね。でも、車窓から見えるみんな、いい笑顔してるんだよ~~。その直後、イポリトフ伯爵が銃殺されたことを悟って、みんなの顔がさーっと暗くなるのにも。胸がきゅっとなりました。
列車から飛び降りる三人を心配して慌てている旅客たちもかわいかった。みんな無事にパリに着いたのかな・・・。

Traveling Sequence
さおが怖い!最高です!「楽しめばいい、この仕事を♪」って怖くない!?
吹雪の中をぐんぐん歩くディミトリとアーニャとグレブのハーモニーも力強くて印象的だった。

♪Still
ボリシェヴィキはめちゃくちゃ踊れて、脚が長くて顔が小さくないと、仲間に入れてもらえないんですか?
歌詞をよく聞いてみると、グレブさんの愛が若干拗れていて、ちょっと心配になってきます。苦悩の歌、いいよね。しかもキキちゃんの歌って力強いから、イライラしない。

♪Journey To The Past
歌い出しがディミトリなのがいいですよね。BW版ではアーニャの歌なので。良い改編だったと思います。歌詞も良い。「もうすこし 俺の心 強くいてくれ♪」だって。たまんないよ。デュエット曲になったことによって、ラブ度が爆上がりしたと思う。二幕に向けて、ディミトリとアーニャのラブを応援する身としては、本当にたまんない。『がんばれ!』って応援したくなっちゃう。
最初「home,love,family♪」が聞き取れなくて「ほら、ファミリー♪」だと思っててごめんなさい(笑)
でもやっぱり、まかまどのデュエットが素晴らしい。声が溶け合っている。『ウエスト・サイド・ストーリー』を2回も経験しただけあって、恋のデュエットが本当に素敵なんですよね。まだこのふたりは、お互いの恋に気付いていないけれど、予感があるじゃないですか。そこが、すごく宝塚なんですよね。


【act.2】

♪Paris Holds The Key(To Your Heart)
ドラムロールとミラーボールで幕が上がるのがいいね!舞台がロシアからフランスへ移ったのが感覚的によくわかる。振り付けはかわいくて、フォーメーションも綺麗だった。
しかし、手拍子なんとかならなかったのかな・・・。この曲は絶対に裏拍だし、踊っている人たちも裏拍でカウント取っているはずなので、手拍子のせいでダンスのニュアンスが変わって見えてきちゃって残念だったし、わたしはこのナンバーを裏拍でノリたかったです。どうしてなの宙担。『HOT EYES!!』の時は変則的な手拍子だってバッチリだったじゃん・・・。

♪Close The door
組長まで歌が上手いって、宙組はほんとうに歌の偏差値が高い。しかも、すっしーさんは普段は男役さんなんだよ?それを忘れてしまうくらいにナチュラルなんです。やり過ぎずに「老年の女性の歌」を歌えている、その表現力が凄いなって。
公演の前半では『神々の土地』のマリアと上手く切り離せずに、イメージを引きずってしまって、どう見たら良いかがわからず、苦労した。でも、この歌で、皇太后マリアが同一人物でありながら、それぞれの世界で生きるマリアであるという感覚を得られた。どちらかというと『アナスタシア』のマリアの方が、おとぎ話のマリアというイメージ。

♪Land Of Yesterday
ネヴァクラブを最高だ!と語る名もなき伯爵を演じているのが、一幕で銃殺されたイポリトフ伯爵を演じていたりんきらだという皮肉がたまらない。
この場面も目が足りなくて、そーちゃんが耳を刺激してくるから、リリィも見逃せなくて、とても忙しくて大量にカロリーを消費するナンバーだった!踊り子のドレスがかわいかった~~。なかでも潤花ちゃんの笑顔がピッカピカで、大輪のお花のようだったな。
そーちゃんの歌はパワフルで、わたしも「ロシア!」と叫びたくなった。公演の後半では、低音が力強くてちょっぴり男役の雰囲気が出ているのが刺激的で良かったです。きっと、この役に憧れる下級生や受験生が大勢いるんだろうな。格好良いよね!

♪The Countess And The Common Man
お友達が「ヴラドどんだけキスがうまいんだ」と突っ込んでいてめちゃくちゃ面白かったんですけど、キスしまくってるもんな、あの二人(笑)キスしまくっているヴラドとリリーも見なくちゃだし、後ろでいちゃついてる上級生カップルたちも見ないとだしで、めちゃくちゃ忙しかったですね。目が6つ欲しかった。さおちゃんが罪深い前髪をしていて「この人、絶対にジゴロだわ」と思うなどした。
物語のメインとは違う場所に主人公以外のカップルがいるお話っていいよね。リリーの「んん~~んっ」っていうやつが、かわいくて好き。

♪Reprise:"The Countess And The Common Man"and"Land Of Yesterday"
そして、このいちゃいちゃを影で見ているグレブさんが、陰キャの極みみたな表情をしているのに気がついたときは噴き出すかと思った(笑)「正しき場所へと 導いてやろう そう アーニャ♪」って、あんた一番嫌われる考え方だぞそれ!でも、怖いよねこの歌詞。

♪A Nightmare
どうしてわたし、もえこパパの娘じゃないんだろう。毎晩枕元に出てきて欲しい。
意味深な事を言うアレクセイがめちゃくちゃかわいい。ずっとこってぃに抱っこされているのも最高です。この演出考えた人も最高だし、アレクセイにモフモフ帽を被らせた人も最高。

♪In A Crowd Of Thousands
ここでディミトリが着ているパジャマって、ロシアの民族服なんでしたっけ?いやー、パジャマ姿でも格好良いって、真風涼帆は優勝だわ。
このデュエットも本当に素晴らしくて、催眠術にかけられたのかってくらいに、鮮明にパレードが脳に浮かんでくるんだよね。見えるの。揺れるパレードが。
そして、自分の大切な思い出をアーニャに明かすディミトリが、すごく甘い声をしているんだよね。アーニャがあの日見た少年のお辞儀を覚えていたことに、瞳を輝かせて憶えていることに感動しているように見えるんです。
思わずキスをしてしまいそうな二人の距離にきゅんとして、ハッとしてアーニャに跪くディミトリにもきゅんとして、この時の心拍数やばかったと思う!だって、ここで二人の気持ちは結ばれているのよ。両想いなんだもん、そりゃ、きゅんですわ!
ここでも主旋律を娘役が歌っていますね。BW版の通りではありますが、「なにがなんでも宝塚のコードに」しようとしないのが良かったと思います。

♪Arriving At The Ballet
ディミトリの黒燕尾姿も格好良くて惚れ惚れするんだけど、アーニャのドレス姿も素敵なんだ。ディミトリに会って、真っ先にタイを直しちゃうアーニャにも萌えたし、その手を払って、少し気取って腕を差し出すディミトリにも萌えた。この距離感である。そりゃあ、恋に達者なヴラドさんは当然このロマンスに気がつくよね!っていう。ここの一連の二人が好きすぎて、わたしの心の中のオトメが、毎度ギャーギャー騒いでいた。

♪Mean To Be
ヴラドおじさんは最初から見守っていたんだもんねえ。ここのずんちゃんの歌が好きすぎて、二幕が始まると同時に、この歌をいつも楽しみにしていた。

♪Quartet At The Ballet
バレエも見たいしボックス席も見たいし、でも歌も聴きたいし、メロディも探りたい!ので、この場面は視覚と聴覚がめちゃくちゃ忙しかった。最初の方は、目が足りなくてグレブの声がしているのに、どこにいるのか把握できなかったくらい。
わたしはバレエのことをよく知らないのですが(白鳥の湖だってカンパニーで得た知識程度である)きよちゃんのロットバルトが、びっくりするくらいに跳んでいて、脚がとんでもなく上がっていて、目が釘付けだった。亜音くんと潤花ちゃんのリフトも素晴らしくって、歌も盛り上がるので、いつも心の中で盛大に拍手をしていた。東京に来てからバレエに拍手が出来るようになったのも嬉しかった。
「♪Once Upon A December」「♪Close The Door」「♪白鳥の湖」「♪The Neva Flows」が聞こえてきて、迫力の四重奏へ。ここでは『ウエストサイド・ストーリー』のクインテットでの胸の高まりを思い出しました。『アナスタシア』って、クラシカルなブロードウェイのミュージカルっぽさがあると思うんですよね。エレクトリカルな曲がない。だから宝塚の世界観と相性がよろしい。優雅なバレエ、煌びやかなドレス、豪華なセット、迫力の音楽、そのすべてが揃った大好きな場面でした。

♪Everything To Win
もしもわたしがイヤホンガイドの解説者だったら、「さて、ここでアーニャと皇太后の面会が終わるのを待つディミトリ役は、真風涼帆。男役としての仕草が満載の、見所の多い場面となります。まずは、手の動き。そして貧乏揺すり。実際の男性にされると、ややうっとうしい仕草も、男役がするとなれば、不思議と格好良いものに見えてきます。」と、するすると喋り出すでしょう。歌も良いんだけど、ここのゆりかちゃんの「じっとしていられない男」の落ち着かない芝居がめちゃくちゃ良いんだよ~~~。彼女のことを求めていると、自覚し始めたディミトリの複雑な心情がたまらないよね。アーニャのことを失いたくないって。

♪Once Upon A December(Reprise)
ここでボロボロ泣いてしまう事が多かった。マリアの杖が倒れて、ゴトンという音が静かに響いた時、彼女の凍り付いた心が溶けてゆくのを感じました。オルゴール欲しいよね。いつか販売されないかなあ。欲しいなあ。

♪She Walks In(Reprise)
「死ぬまで 忘れないで 思い続ける アーニャ さよなら♪」のせつなさよ。一幕で悪い顔をしていたディミトリが、こんなに純粋な気持ちで誰かを想うなんて。パリに来て変わったねディミトリ。それは愛じゃよ、愛。

♪The Press Conference
何度も言うけれど、わたしはヴラドさんの「ポ・ポ・フ♪」が大好きです(笑)お仕事をしっかりしているリリィも素敵よね。年増感もある。
『神々の土地』では愛煙家で、喫煙を注意されていたマリア皇太后の前では「たばこは禁止♪」なのが面白いよね。

♪Everything To Win(Reprise)
アーニャが自分の気持ちに気が付く場面。マリア皇太后が「あなたのプリンスは?」っていうのがいいよね。

♪Still/The Neva Flows(Reprise)
グレブさんが地面で丸まってグズグズしているのに萌えますが、やはりこの場面も迫力がある。初見では、グレヴが自害してしまうのではないかとヒヤヒヤしながら見守りました。
お友達が「この場面のオリガを見ると泣ける」と言っていたのですが、オリガは二人の妹の盾になっているんですよね・・・。泣ける。本当に細かいところまでよく作り込まれていて、深い世界でした。
グレヴの「末永い人生を送ってくれ」は、彼にとって精一杯の愛の言葉だよね。グレヴが去るとき、「♪Stay,I pray you」が流れるのが鳥肌もの。

♪Finale
マリアの「あの子は帰ってこないでしょう」のところが、毎回すっしーさんの芝居のペースより録音のペースで進んでしまうのが、もったいないなあと思っていました。生オケだったらきっと、もっとたっぷりした芝居になったんだろうな。
ディミトリの「俺は、人生で手に入れることの出来ない人を、愛し続けることなんて出来ないから」にアーニャの「太皇女アナスタシアは許しませんよ」は、名台詞ですよね。アーニャの手を取って、踊りはじめるディミトリがチラッと見せる白い歯が!あー!たまらん!きゅんですっ!!

♪Once Upon A December(Reprise)
ちょっとフレンチなアレンジになっているのがおしゃれよね!マリアの「それでも・・・」がとっても優しくて、本当に大好きでした。
幕が下りて、新しい家族写真が映されて、"Fin."と書かれた時に、いつも拍手をしながら心の中で「おしまい」と、しあわせな気持ちで唱えていました。

♪フィナーレ
歌唱指導のずんちゃんが、とてもゆったりと歌ってくれるのが好きで、物語の余韻に浸れる時間があってしあわせでした。
ロケットは、ほんと、かわいくって。東京では、時期トップ娘役の潤花ちゃんがセンターで中低に並んでいるのが良かったです!かわいい子見せびらかし感があってナイス。
娘役群舞は、衣装のデザインが好みではなくて、振り付けも最近の宙組としては新鮮味がなかったかな。編曲は大人っぽくて好きでした。
続いて男役群舞。銀橋に出てくる直前のギターソロがめちゃくちゃ宝塚っぽい。
曲調変わって、軽快なアレンジの「♪The Neva Flows」は、グレブさんみんなと踊れて良かったね!っていう気持ちで聴いてた(笑)ここからの振り付けは好きだったな。多人数でのリフトがあったり、ペアのダンスがあったり、組子が元気で楽しそうに踊っているのが見られて嬉しかったです。
そして、奇しくもまかまど最後のデュエットダンスとなってしまった今作。まどかちゃんがあまりにもしあわせそうに踊っているので、その笑顔を見て何度も頬とマスクを濡らしました。銀橋に出てくるとき、まかまどが繋いでいた手を入れ替えるのが好き。このデュエットダンスを眺めながら、いろんなことを思い出していました。お披露目からずっと観てきたので、思い出が、いっぱい。

♪グランドパレード
きゃのんちゃんは、あおいさんが花組に異動されることによって、新たなコーラスリーダーになるんですよね!?まろやかで娘さんらしいソプラノのエトワールで、いつも安心して耳を委ねていました。
めちゃくちゃツボだったのが、グレブさんの階段降りの歌が『宝塚歌劇におけるパレードの、悪役の階段降りソングアレンジ』をされていたことです。グレブさんは悪役じゃないもん(笑)ちょっと拗らせtrしまっただけだもん。でも、キキちゃんはキラキラに輝く笑顔で、めちゃくちゃ面白かった。キキちゃんが階段から降りた後、下手でちょっとだけ待機する時間があるんだけど、3列目で観たときは、待機中ずっとこっちへニコニコしてくれてその辺一帯はキキちゃんの笑顔から目が離せなかったと思う。素敵だった・・・。

【まとめ】

コロナがなければ、BW版の作曲家や演出家やオリジナルキャストに公演を観てもらうことができただろうなと思うと、悔しいですよね。宝塚のオケや編曲には、独特の華やかさがあって、それは唯一無二のものだから、世界中の人に宙組の『アナスタシア』を観てもらいたかったなあと、いちオタクは思うのです。
サントラと実況盤を聴き比べながらタラタラと書いていたら、1万字を超えてしまいました(笑)これだけ掛けたってことは、それだけ楽しかったということだと思うのです。同じことばっかり言っていたかと思いますが、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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